シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP「海外在住でも失業保険はもらえるの?」

海外進出「社会保険・労務管理」

2019年6月25日

Q.「海外在住でも失業保険はもらえるの?」

~失業状態でも日本在住でなければ受給できない~

私は、7年近くシンガポールの現地法人に出向社員として勤務していますが、近々、今勤めている現地法人に転籍予定です。そこで質問ですが、転籍すれば社会保険に加入できなくなると聞いてます。今まで、20年近く日本法人に勤めており、給与からは雇用保険料が毎月控除されていました。たしか、退職すれば雇用保険からお金がもらえたような記憶があるのですが、私の場合ももらえるのでしょうか。(Kさん)

 退職後に雇用保険(失業保険)から給付をもらうためには、失業状態で日本に住所を有してなければなりません。失業給付(基本手当)は、失業中の所得保障として、雇用保険からもらえる給付ですが、その要件は、1)日本に住所を有していること、2)失業状態にあることです。つまり、企業が退職後に功労報償的として支給する退職金などとは異なるわけです。したがって、Kさんは、受給することができません。なお、「失業状態」にあるとは、会社を退職し、就職の意思、能力、環境があるにも関らず、就職できない状態をいいます。つまり、退職前から既に転職先が決まっており、転職活動をする予定のない者、病気のため働ける状態ではない者は、失業状態として認められず給付の対象とはならないのです。ちなみに、失業給付は受給できる期限が決まっており、原則退職日の翌日から1年間となっています。Kさんは退職後に現地法人に転職されるということですが、仮にここを1年以内に退職され、日本に帰国し、再度就職活動される場合は、原則受給も可能ですが、1年経過すれば全てリセットされる為、受給できなくなります。

 

▶ このコラムの回答者

 

 

 

 

 

武澤 健太郎
社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所 アジア進出担当 執行役員

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