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4賢人の知恵袋 ~新時代のビジネスアプローチ~

2016年9月19日

ブランディング編 第5回 世界でブランド力を高めるには

だからこそ、我々日本人に与えられた感性・美的センスを武器にしてほしいと思います。目に見える製造やサービスの「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」への置き換えはどんどん加速し、人間のできる仕事が限定されていきます。だからこそ、目に見えない分野で感性を使い、共感を集め、経験や体験を提供していきましょう。その分野において世界をリードする存在として求められているのが様々なジャンルにおいての日本ブランドなのです。

 

実践法の一つとして、掲げた「信」の旗が届けたい人たちのコミュニティの中心、つまりそのジャンルの発信拠点になることをおすすめします。特に現代はリアルタイムの時代。つながりたい人とのタッチポイントの作り方をしっかりイメージし、スピード感を持ちながら、相手の負担を取り除くサービスを提供しましょう。コミュニティの大きさは「幸せにしたい人」に「何を届けたいか」で変わってくるので大小ではありません。それよりも、「遊び心」をもって変化を楽しめる柔軟性が必要です。ここは共感を呼ぶ大切なポイントです。

 

時代や環境にあわせて、自社の商品・サービスを再定義することも大切だと思います。モノを売るのではなく、経験や体験を売る。例えば、あるスポーツ飲料商品は断食習慣のある国で、断食後の栄養補給に、という配布プロモーションを行い、その国でのポジションを確立させました。商品ではなく、体験を提供したのです。商品開発力に優れた知人の洗剤メーカーでは、売っているものは洗剤ではなく、「きれいな環境」「きれいな心」でいられる状態を売っていると言います。その思想に共感する人たちが集まり、ブランドが形成されています。

 

世界の中の自社ブランド(商品・サービス)をイメージし、再定義されてみてはいかがでしょうか。世界中にあなたの商品・サービスを待っている方が必ずいるはずです!

junji_kawasaki01川崎 順司(かわさき じゅんじ)
有限会社遊心企画代表取締役、クリエイティブディレクター。

広告制作会社で大手企業のプロモーションを数多く手がける。独立後、「Re-design(価値の再定義)」を提唱し、人、企業、地域とともに、未来への架け橋となる「愛され続けるブランド」づくりに従事。日本の文化を生かした未来の知恵づくり活動も行っている。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.310(2016年9月19日発行)」に掲載されたものです。

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