シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPアジア各国にコンテンツ配信のシステムを繋ぎ、 コンテンツプロバイ...

ビジネスインタビュー

2006年12月4日

アジア各国にコンテンツ配信のシステムを繋ぎ、 コンテンツプロバイダーが安全に走れる高速道路を敷く

Kyocera communication Asia Pacific Pte. Ltd. Sales & Marketing Director 河之口達也さん

0

アジア地域におけるデジタルコンテンツ配信ビジネスの推進を目的にKYOCERA COMMUNICATION ASIA PACIFIC PTE.LTD.(以下KCAP)がシンガポールに2002年に設立されてから4年。設立されて以来、日本のコンテンツプロバイダーの海外進出支援のために日本で事業展開に関わり、昨年からシンガポールの現地法人のダイレクターとして指揮をとる河之口達也氏に話を伺った。

 

「会社を立ち上げた時は様々な苦労がありました。アジアのマーケットは、コンテンツ配信ビジネスを受け入れるにはまだインフラが成長過程にありましたし、携帯端末の機能が進歩すれば、即コンテンツの海賊版が横行するという状況。コンテンツプロバイダーの方もそのような状況下で大切なコンテンツをアジアに出すのは難しいという認識でした。」と当時を振り返る。
とはいえ、めまぐるしく拡大するマーケットやビジネス環境、インフラ整備が進むアジアにおいて、コンテンツ配信ビジネスが確実に成長するというのは明らかだった。シンガポールのみならず、海外のコンテンツを配信するということ自体も既に珍しくはなく、不正コンテンツを格安で配信するプロバイダーも増える中で、「我々の事業が継続的にビジネスとして成り立つためには、会社としての信頼はもちろんのこと、プラットフォームとしての信頼を得ることが鍵となります。また、他にはないユニークなコンテンツを供給するという事もユーザーを引きつける上で大事です。」と語る。それを実現するために、受け入れ先の各国で知的財産を守る仕組みづくりへの啓蒙活動と、コンテンツプロバイダーと協業するアライアンスの策定を粘り強く続けている。

1

KCAP社は、「アジア各国に我々がコンテンツ配信のシステムを繋ぐことで、コンテンツプロバイダーが安全に走れる高速道路を敷くようなものです。これは21世紀に世界が大きくシフトしようとしている知識社会への過程だと思います。具体的には各国の通信キャリアや行政に働きかけながらインフラを整えていくことで道路を太くし、より多くのコンテンツが行きかうことができる環境を作っていくことです。」と自社をポジショニングする。コンテンツプロバイダーの中には、独自で海外配信を試みてそのシステムや環境の違いで苦労したり、容易く不正コンテンツを流されて辛酸をなめた会社も多数ある。その中で、親会社である京セラコミュニケーションシステムが積み上げたシステム構築、運用実績を生かして、地道にその土地にあったゲートウェイを築いてきたことが徐々にKCAP社の評価を際立つものにしてきたのである。

 
河之口氏がシンガポールに赴任してからの一年の間にも提携先の国は増え続けており、現在シンガポール、タイ、オーストラリア、ブルネイの四カ国と提携、来年にはインド、インドネシア、マレーシア、台湾、香港へと広がる予定だ。

 
また、企業紹介に掲載したSMSやインターネットを利用したビジネスソリューションを提案する事業も拡大している。デジタルコンテンツ配信のワンストップソリューションとして、KCAP社がアジアでのビジネスモデルになる日は近い。
のフロンティア的な立場でビジネス展開するKCAP社をとりまとめる河之口氏は、シンガポールが初めての海外赴任であるとはいえ、落ち着いた安定感のある方。その由縁を語るかのように「急成長のベンチャー企業に就職したいという思いが叶って京セラに入社するも、暫く自分の仕事に対して納得する答えを持っていなかった。入社10年目の頃、京セラの創業者である稲盛氏に本社でお会いした折、仕事でとことん努力することが何よりも人間としての成長に繋がる。金や名誉や余暇の遊びに目を奪われることなく、人生の目標を人としての成長におくべき。という言葉に感銘を受けて以来、何かが吹っ切れたんです。どんな仕事でもそれは当てはまるわけですから。」と笑う。
KCAP社での仕事も、いわばゼロからの仕事で、無かったものを作り上げてきた苦労の中でたくさんのことを学んだという。アジアにおけるデジタルコンテンツ配信ビジネスでの成功に向けて、河之口氏がまい進することに迷いは無い。
河之口氏が長年続けた剣道は、二段の腕前だが、シンガポールでは大学時代に始めたヨットに乗ってみたいと語る。まだ実際にこちらで試したことはないそうで、仕事で時間が取れないというより、余暇は9歳と3歳になる二人のお子さんと出かけたり、テニスをする時間で終わってしまうからだとのこと。マイホームパパの優しい笑顔が垣間見られた一瞬だった。

河之口達也(ごのくち たつや)

1967年大阪生まれ。龍谷大学経営学部卒業後、1991年京セラ株式会社入社。経営情報システム事業部に所属し、一般企業向けコンピュータシステムの営業に従事。 1995年京セラコミュニケーションシステム株式会社設立と共に出向、2002年Kyocera Communication Asia Pacific Pte. Ltd.(シンガポール)設立に伴い、日本のコンテンツプロバイダーの海外進出支援・新規事業開発業務に従事。2005年Kyocera Communication Asia Pacific Pte. Ltd.(シンガポール)へ転勤し、Sales & Marketing Director に就任。

京セラコミュニケーション・アジアパシフィック
298 Tiong Bahru Road, #14-05 Central Plaza 168730
TEL:6276-1501
E-mail:sales@kcap.net

 
298 Tiong Bahru Road, Central Plaza Singapore 168730

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPアジア各国にコンテンツ配信のシステムを繋ぎ、 コンテンツプロバイ...