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4賢人の知恵袋 ~新時代のビジネスアプローチ~

2016年3月21日

ブランディング編 第2回 「愛され続けるブランド」づくりに必要なこと

世間が作り上げた流行・ブームというフレームの中に入ると、「今年流行りの○○!」と期間限定的な印象を作られ、一方的に寿命を設定される怖さがついてきます。年が明けるとそれは去年のもの、流行遅れと過去のことに押し込められる可能性があります。戦略的であれば別ですが、本意と異なる状況に流されかねない状態です。「メディアは諸刃の剣」とも言われる所以ですね。

 

そこでオススメなのは、場面ごとに「初心忘るべからず」というフィルターにかけることです。自分たちの「信」の旗はどこにあり、その旗は誰に何を示すものなのか。ここに違和感を持ちながら進んだ場合に生じるズレが、繋がっていた本命のお客様や、同じ思いで繋がっていた仲間が離れる原因を生んだりします。そのことをよく知る伝統ブランド、老舗ブランドは、メディアに対してとても慎重に向き合います。地に足をつけた、一時的な波に流されない、根の強さを持っておられます。そしてしっかりとフィルターにかけ、自分のたちの「信」の旗の確認作業をされます。

 

さらに意識しておくことは、世間が騒いでいることと、お客様自身が感じていることは違うということ。同じ口コミでも、世間が話題にする商品と、自分が信頼している人が話題にした商品は大きく違うということです。「信頼」が「信頼」を呼ぶ。「信頼」は繋がるということです。

 

そしてもう1つ大切なこと。それは、自分たちが誰よりも自分たちのブランドを愛するということです。愛すればこそ、磨き続けられます。会社を、社員を、商品・サービスを常に成長させたいと大切に磨き上げます。その愛情の量に、お客様は心を動かされ、惹かれます。そして自分たちに愛が注がれた時、ご愛顧で返してくれるのです。話題のブランドから、愛され続けるブランドへの架け橋ができる時ですね。社会を豊かにする本物のブランディングがなされた瞬間でもあります。

 

ここでも日本の誇りを感じることができます。何度も言いますが、日本は右も左も教科書だらけ、時空を超えたスーパーブランドの宝庫です。私自身、一緒にブランディングに取り組むクライアントさんとの会話も、「難しいテクニック論を考えるよりも、シンプルに日本人としての感性を働かせる方が大事ですね!」という結論にいつもなります。

 

特に機械的なサービスを追う時代が過ぎた今、「感謝から得られる喜び」の循環をもっとブランドパワーに生かしていければ最高だと思う日々です。

junji_kawasaki01川崎 順司(かわさき じゅんじ)
有限会社遊心企画代表取締役、クリエイティブディレクター。

広告制作会社で大手企業のプロモーションを数多く手がける。独立後、「Re-design(価値の再定義)」を提唱し、人、企業、地域とともに、未来への架け橋となる「愛され続けるブランド」づくりに従事。日本の文化を生かした未来の知恵づくり活動も行っている。 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.298(2016年3月21日発行)」に掲載されたものです。

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