2014年9月29日
北海道の知る人ぞ知る商品をリーズナブルな価格で届ける
EZOYA PTE LTD
日本の品物が手に入りやすいことは、日本人にとってはありがたい、シンガポールのいいところの1つ。最近では地方の特産品も買うことができる。しかし、輸送費などのコストがかかるため、日本に比べて多くは割高に感じられてしまう。
そんな中、蝦夷屋は今年2月からシンガポールでオンラインで注文を受け、宅配する方法で日本の商品をリーズナブルな価格で販売。現在の主力商品は米と水。蝦夷屋という店名から想像できる通り、「ゆめぴりか」や「ななつぼし」、「ほしのゆめ」といった北海道産の米と、ミネラルウォーター「北海道大雪山ゆきのみず」などを扱っている。
「米も水も重いので、例えば、会社の帰りに買って帰るにしても大変です。シンガポールでの日本人の皆さんの生活がより便利になるように、ネットスーパーマーケットをオープンしました」と店長の竹谷豊さん。
「シンガポールで売られている日本の商品の値段は、ニューヨークと同じくらいだと言われいます。当社では日本からシンガポールに運ぶ物流コストを抑え、当地で問屋を介さず、店舗を持たずにオンライン販売とすることで低価格を実現しました。価格は日本の1.5倍までに抑えることをめざしています」。
蝦夷屋のネットスーパーは会員制で、買い物をする度にポイントがたまる。また会員は10%割引特典もある。
クールジャパンを実践する在住日本人のための生活便利店
水と米のほか、北海道ならではのシーフードもあり、イクラ、シシャモ、鮭フレーク、さらに7Lサイズという特大のタラバガニなども扱っている。また旬の野菜や果物、菓子類、キッズ・ベビー用品、日本で人気を博している健康グッズ、電化製品なども販売。商品の種類は約200にも及ぶ。
「売れ筋商品ではなかったり、日本には埋もれてしまっている商品にも実はいい商品がたくさんあります。そうした商品をぜひシンガポールで紹介し、販売したいと思っています」と竹谷さん。
シンガポールは蝦夷屋にとってインドのバンガロールに続く2ヵ所目の海外拠点。シンガポールを選んだ理由としては、在住日本人が多いこと、地元の人が日本について知る情報が多いことが決め手の一つになったという。
「テレビで日本を紹介する番組や、日本で放送されている番組がシンガポールでは普通に放送されていますし、シンガポールの人たちは日本についてよく知っている。そして、北海道の認知度、好感度が非常に高い。私の経験でいうと、ニューヨークのように北海道について知らない、興味がないという人が多い都市があることを考えれば、シンガポール、東南アジアがいかに有望な市場かがわかります。将来、近隣諸国への展開を考えるうえで、シンガポールは貿易の拠点としても魅力があります」。
北海道ブランドが浸透しているローカルマーケットへの攻勢を視野に入れつつも、まずは在住日本人コミュニティの中で認知度をアップさせることが当面の目標だ。
「知る人ぞ知るネットスーパーとして、皆さんの生活便利店でありたいと考えています。また同時に、日本の良いものを海外に売り込むことで、日本政府が掲げる『クールジャパン』を実践する会社でありたいと思います」。
会社プロフィール
2014年2月にシンガポールで設立。オンラインスーパーを開設し、米、ミネラルウォーター、シーフード、野菜、果物など北海道産を中心とした日本の食品や、各種日用品などを販売する。
EZOYA PTE LTD
1 Commonwealth Lane #03-27 Singapore 149544
TEL:6471-3842
取材後記
兵庫県西宮市出身で実家が阪神甲子園球場の近くという竹谷さん。もちろん阪神ファンかと思えば「野球よりサッカー派で、ヴィッセル神戸を応援しています」。とはいうもののやはり『六甲おろし』は歌えるそうです。
仕事では米やミネラルウォーターを持ち上げたり運んだり、積んだりしたおかげで、体力がついたとのこと。「最初は無理でしたが、今ではミネラルウォーターの箱24キロ、米60キロを持ち上げることができるようになりました」。
休日の楽しみはローカルフードの食べ歩き、飲み歩き。「クラークキーのバーなどによく行きます」。
座右の銘は“Everything is Every Chance”「カナダに留学していた時に出合った言葉です。どんな小さいことでもチャンスにつなげることで、物事がうまくいくと信じています」。