2012年8月2日
日本でトップシェアのWeb会議システムをアジアで拡販
V-cube Singapore R&D Centre Pte.Ltd.
テレビ会議、Web会議のクラウドサービスシステムの開発と販売を行うブイキューブ(東京都目黒区)が、シンガポールに研究開発拠点を開設し、世界規格での製品開発に乗り出している。
日本ではWeb会議システムの「V-CUBEミーティング」で導入実績3,000社以上とトップシェアを誇る同社だが、世界に打って出るには世界照準の製品開発が鍵を握ることになる。「これまでは日本で日本人に特化したチームが日本で製品開発をしていましたが、アジアの中心地であるシンガポールで、グローバルなチームを作りたかったんです」と、塗師(ぬりし)宏規ダイレクターは語る。
もともとは慶応義塾大学の学内ベンチャーとして発足したシステム開発などを行う受託会社だった同社。2003年、初の海外進出でもあった米国への進出後、業務上のやりとりを日米間で行う際に電話会議では不便を感じ、インターネットを利用した会議システムを試作。日本で提供したところ予想以上の反響で製品化することになり、たちまち主力商品に成長した。
しかし日本と海外では受け入れられる製品が違うという壁にぶつかり、試行錯誤した。例えば、自社製品の強みはお互いの顔を見ながらテレビ会議ができるという点だが、米国では顔を見なくても話ができれば充分という考え方が主流のため、会議システムを商材としての市場開拓は難航した。今ではどこからでも気軽にライブ感あるセミナーを配信できる「V-CUBEセミナー」が米国市場での主力製品だという。
会議で「Face to Face」を重視する日本人と感覚が近いのはアジア市場。すでに販売を開始している中国、マレーシアに加えて、タイ、ベトナム、インドネシアなど近隣諸国での拡販を狙っていく。シンガポールの現地法人は製品開発拠点としての位置づけだが、シンガポールでの引き合いも増えているため、販売拠点としての機能も整備していきたい考えだ。
シンガポールは風通しの良い開発環境
塗師ダイレクターは、現地スタッフを採用する際、エンジニアの成熟度に驚いたという一方、同社のサービスや日本の技術の高さに対して「機能が充実しすぎていて、かえって使いづらいのではないか。もっとシンプルにしたほうが使い勝手が良いのでは」というストレートな問いかけをなされたという。日本とは違い、互いに忌憚の無い意見交換ができる多国籍な環境が、東南アジア市場向けの製品開発に功を奏しているようだ。
ランチタイムには部下と気軽に意見を交わし合い、円滑なコミュニケーションが取れるチーム体制を構築している。「確かに我々は、顧客目線でお客様の要望をどんどん取り入れて来たので、こうした意見が非常に参考になっています。早く新製品を出したいですね」と話す。オンもオフも人との輪を大切にすることを忘れない。
座右の銘は“Do my Best !”「いろんな企業のみなさんと一緒になってシンガポールを盛り上げていきたいですね」。
会社プロフィール
本社となるブイキューブ(東京都目黒区)は、ビジュアルコミュニケーションツールの企画・開発・運用・保守や、企業などへのビジュアルコミュニケーションサービスを提供している。「V-CUBEミーティング」などの主力サービスは、業界シェアナンバーワンで、日経BP社が主催するクラウドランキングではベストサービスとして評価されている。2012年、シンガポールに研究開発拠点を開設した。
V-cube Singapore R&D Centre Pte.Ltd.
10 Collyer Quay #03-06 Ocean Financial Centre Singapore 049315
TEL:6636-5862
取材後記
年越しを機内で迎え、元旦にシンガポール入りしたという塗師さん。休日は夫婦で買い物をしたり、シンガポールのランドマークともいえるマリーナベイサンズが見渡せるレストランで食事を楽しまれていますが、土日に行われるフットサルにも奥様を連れ出そうとしているのだとか。ご夫婦が仲睦まじく在星生活を満喫されていて、素敵です。