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法律相談

2011年8月22日

Q.交通事故にあったら、どうすればよいでしょうか。

交通事故にあってしまった場合の対応

1. 歩行中または自転車で交通事故にあってけがをした場合の対応

最初にすべきことは、自己の安全確保、すなわち危険な場所から速やかに離れることです。大けがで救急車を呼ぶ場合の電話番号は995です。軽いけがだと思われた場合でも、できるだけ同日中に医者に見てもらっておいた方が良いでしょう。医者に行った場合には、領収書、診断書、予約票などをきちんと保管しておくようにして下さい。病院へ行くのにタクシーを利用する場合には、運賃の領収書を受け取って保管しておくこともお忘れなく。けがのために通勤方法を変更せざるを得なくなった場合には、その運賃にかかわる領収書もきちんと保管しておくようにして下さい。

 

事故現場を離れる前に、できるだけ関係者と以下の情報を交換しておきましょう。

 

  • 事故に関連するすべての自動車等の登録番号および加入保険会社の名称
  • 運転手、同乗者および目撃者の氏名、ID番号、住所および電話番号

 

以上に加えて、事故現場の状況、特に自動車等の位置(レッカー等で動かす前に)、ナンバープレート、位置関係の目印となりそうな対象物、事故によって生じた損害の状態等について、写真に収めておくことが望ましいです。携帯電話のカメラ機能を活用することもできます。

 

また、事故後24時間以内、入院等で難しい場合でもできるだけ早く、警察への事故報告(Police Report)を行っておくべきです。運転手側とは別途報告が必要なようですので、注意が必要です。損害賠償の請求を行う場合や、逆に損害賠償請求を受けた場合には、弁護士に相談されることをお勧めします。

 

2. 自動車等の運転中に事故にあった場合の対応

同じく、最初にすべきことは、自己および他者の安全の確保です。けが人がいる場合には、直ちに警察に電話し、24時間以内に事故報告を行う必要があります。警察が到着し、指示があるまでは、車を勝手に動かしてはなりません。関連当事者間での情報交換と事故現場の写真撮影については、上記1.と同様です。

 

事故車のレッカー、その他の事項に関しては、加入している保険会社の24時間ホットラインに電話をして、アドバイスを受けるようにしましょう。特に、事故現場で、責任問題や支払いに関する事項を当事者間で議論するのは避けた方がよく、相手が主張を行ってきたとしても、保険会社に連絡して、相手と話してもらうようにするのが賢明でしょう。

 

2008年6月1日以降、規模の大小や損害賠償請求の有無にかかわらず、およそすべての交通事故は、事故発生から24時間以内または翌営業日中に、認可された報告センターまたは修理工場等を通じて加入保険会社に報告されなければなりません。事故のいずれかの当事者が所定の「Singapore Accident Statement」(SAS)を所持していた場合には、事故現場でそれを両当事者が一緒に記入、署名の上、提出することができます。誰も所持していなかった場合には、各自が提出先として認可された報告センターまたは修理工場に行って記入の上、報告します。報告時には、損傷の有無にかかわらず、事故車を持って行くことが求められます。また、2011年5月1日から、損害賠償請求をする場合には、修理開始前に相手方またはその代理人に対して調査の機会を与えなければならないという規制が設けられていますので注意が必要です。

損害賠償請求に関しては、加入保険会社又は弁護士にご相談下さい。ご相談の際には、警察への事故報告書やSASの写し、診断書、交通費、医療費、代車代、修理費の領収書等の必要な書類を持って行くようにして下さい。

 

以上が事故にあった際の一般的な注意点になりますが、最終的には保険約款等を順守する必要がありますので、日ごろからよく確認しておくようにして下さい。

取材協力=Kelvin Chia Partnership 大矢 和秀

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.195(2011年08月22日発行)」に掲載されたものです。

本記事は、一般情報を提供するための資料にすぎず具体的な法的助言を与えるものではありません。個別事例での結論については弁護士の助言を得ることを前提としており、本情報のみに依拠しても一切の責任を負いません。

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