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法律相談

2006年1月2日

Q.シンガポールでは弁護士の料金体系はどうなっていますか。日本では着手金、成功報酬等と言いますがシンガポールでは違うのでしょうか。

弁護士の料金体系

日本では一般的には着手金、成功報酬という計算方法の伝統が強いかと思います。顧客が弁護士に案件を依頼する際は着手金を支払い、案件が終了した時点でその案件の難易度や勝訴金額に応じた成功報酬を支払うという方法です。これに対して、シンガポールでは着手金と成功報酬といういわば2分割支払いの伝統はありません。シンガポールで着手金に類似するものとして、案件を受任した時点で実費(disbursement)や報酬の一部をカバーするためにデポジットを必要とする場合がありますが、成功した場合にのみ報酬を受け取るという報酬制度はシンガポールでは禁止されています。シンガポールの弁護士制度は英国の法・伝統に従っており、弁護士報酬は顧客との契約によって定められますが、時間給計算の場合と定額の場合があります。なお弁護士報酬とは、依頼された業務自体の事務取扱い料金で実費分は含まれません。実費とは例えば裁判所への訴状などの申請料金、登記申請料金、印紙代、書類の郵送、交通費、電話代、コピー代、翻訳料金など弁護士報酬以外にかかる各種料金等ですが、これら実費は別途顧客の負担となります。またGST等税金も加わります。

 

まず時間給の金額は各法律事務所によって異なります。通常経験年度の少ない弁護士(アソシエート、ジュニア)か経験豊富な弁護士(パートナー、シニア、あるいはコンサルタント)かなど担当する弁護士の経験レベルによって時給額が異なります。時間給で計算されることが多い案件としては例えば訴訟案件があります。訴訟案件は相手が応訴するか和解で終了するかなど不確定要素があり、予測しない事情が途中で発生して作業時間が増えたり逆に短い時間で済む場合もあります。弁護士はまず顧客と面会した上で案件の性質を勘案して可能な限り見積もり額や計算方法を提示します。

 

次に定額報酬の場合ですが、一般の登録関連業務や商事事件は定額で計算がされることの多い案件です。例えば、不動産の登記、特許申請、新会社設立登録など、また各種の法律・規制に関する法律相談、法的意見書の作成、契約書など法律文書作成等があります。定額による場合は事前にその金額、その金額に含まれる作業の内容項目が提示されます。この額は、弁護士法により公平かつ合理的な額でなければならず、その案件の顧客にとっての重要性・緊急性の程度、弁護士の特殊なスキルの必要性、複雑・困難性、時間を要するか、必要な書類の多少、業務提供の場所などの諸要素から総合的に算出されます。

 

弁護士は職業倫理によって報酬の透明性と信頼性を確保するため顧客に対して計算方法を説明すべきとされており、顧客が報酬について質問することは何らおかしなことではありません。しかし上記のように報酬の計算には案件の性質を勘案する必要があることから、弁護士がその案件の内容をある程度把握するまで金額が出せないことがあります。そこで弁護士報酬や費用が知りたい場合は一度面談し見積もりを依頼することがよい方法です。なお見積もり作業のための費用が発生することがあり弁護士に対して確認が必要です。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.066(2006年01月02日発行)」に掲載されたものです。

本記事はは一般情報を提供するための資料にすぎず具体的な法的助言を与えるものではありません。個別事例での結論については弁護士の助言を得ることを前提としており、本情報のみに依拠しても一切の責任を負いません。

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