2014年3月3日
Q.会社が従業員に供与する住居に関する課税の方法が変更されると聞きました。どのように変更されるのでしょうか。
個人の所得税申告における会社負担の住居費取り扱い
主として外国人従業員の雇用に関して雇用主が従業員に提供する住居は、従業員の個人所得税の申告において現物給与としてその価値を算定し、課税所得に含める必要があります。しかしながら、住居は外国人従業員がシンガポールで就労する上で必須のものですので、所得税法ではこれまで必ずしも雇用主が負担した住居費の全額を現物給与の価値とするのではなく、所定の計算式に基づき算出された一定の金額のみを課税所得とする減免措置が認められていました。しかし、2015賦課年度(2014年の所得)より上記の減免措置は廃止され、雇用主が負担した実費にほぼ相当する金額を課税所得とするように制度が変更されました。
住居の課税所得の計算に用いられる住宅の年次価額(Annual Value)は、その住宅が賃貸された場合に受け取ると想定される家賃(家具、付帯設備、維持費用等を除く)に基づいて算定されます。住宅の年次価額を知るには、家主から不動産税の通知書のコピーを入手するか、IRASのウェブサイト上で1件につきS$2.50の費用を支払って不動産評価額表を購入することになります。年次価額の代わりに、雇用主が支払った賃借料の実費を使用することも可能です。その場合には、住宅の家屋と家具を分けずに、まとめてその現物給与の価値を計算することになります。
取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.)
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.252(2014年03月03日発行)」に掲載されたものです。
本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。