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会計・税務相談

2005年12月5日

Q.シンガポールでは、個人の所得税に関してNORという制度があると聞きましたが、どのような制度か教えてください。

NOR制度について

NORというのはNot Ordinary Residentの略語で、日本語でいうと「非永住居住者」制度となります。これは、外国人駐在員のように一時的に数年間シンガポールに滞在して就労する人々に対して特定の所得を免税扱いにする制度です。多国籍企業の幹部のようにアジアを股にして活躍する人々がシンガポールを拠点にすることを狙って導入された個人のための優遇税制で、2003賦課年度より適用されるようになりました。

 

NORに認定されるには、以下の要件を全て満たさなければなりません。

  1. NORを申請する賦課年度に税務上のシンガポール居住者であること
  2. NORを申請する直前の3賦課年度に税務上のシンガポール非居住者であること

 

NORに認定された場合、以下の2つの優遇税制が適用されます。但し、優遇税制の適用を受ける賦課年度に税務上の居住者でなければなりません。

 

  1. シンガポールの雇用所得について滞在日数に応じて按分計算する
  2. シンガポールでの役務に対して得た雇用所得のうち、出張による国外滞在日数分を免税とし、シンガポール滞在日数分のみ課税するという制度です。この制度の適用を受けるには、上述のNOR認定要件に加えて、以下の要件を満たす必要があります。
    1. 年間90日以上、シンガポールでの役務を遂行するために国外出張すること
    2. 按分計算されたシンガポール雇用所得に居住者税率を適用して計算した税額(A)が、按分計算前のシンガポール総雇用所得(B)の10%以上であること[10%未満の場合には、(A)の税額が(B)の総雇用所得の10%となるように、(A)の金額から(B)の金額を逆算し、算出された金額をシンガポールの総雇用所得と見なして課税所得及び税額が計算される]
  3. シンガポール国外の年金基金や社会保険制度への会社負担拠出金について免税とする
  4. シンガポールの税法では、会社が従業員のために負担するシンガポール国外の年金基金や社会保険制度への拠出金について、要件を満たす特定のものを除き、原則として従業員の雇用所得として課税されることとなっています。NOR認定者は、これら課税対象となる会社負担拠出金について、中央積立基金(CPF)への会社負担の法定拠出金と同額を限度として免税とされます。2005年に支払われた報酬に対する会社負担のCPF法定拠出金は、総支給額の13%(50歳以下の従業員の場合)で、月額給与についてS$650、年間総支給額についてS$11,050が拠出限度額とされています。
    尚、国外年金基金等への会社負担拠出金のうち、本国の法律により拠出が義務づけられている等の要件を満たすことにより免税扱いとされた拠出金がある場合、上述のCPF法定拠出金に基づく免除限度額から、更に免税扱いとされた国外年金基金等への会社負担拠出金を控除した金額が、NOR認定者に認められる免税所得の限度額となります。

 

NORを申請する場合には、個人所得税の申告期限である4月15日までに所定の申請書を内国歳入庁(IRAS)に提出しなければなりません。認定要件を満たし、申請が認められた納税者は、5年間NORに認定されます。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.064(2005年12月05日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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