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2015年9月7日

リーダーシップ編〈第7回〉 「座右の銘」が人生のブレをなくす

あなたは自分の座右の銘を持っていますか?私の座右の銘は「人生1回」です(笑)。正確にいうと少し前までは。私はこの言葉をいつも事あるごとに思い出します。私の友人がよく口にしていた言葉で、以来私の座右の銘になりました。

人は生きているとたくさんの岐路に立ち、そこで意思決定をしなければなりません。そんな時いつも、
「たった1度しかない人生で、本当はどうしたいのだろうか?何の障害もなかったら、自分はここでどのような意思決定をするだろうか?」
と問いかけるようにしています。
人はついつい「本当はこうしたい」と言う思いがありながら、「でも……」「だから……」「それは……」と自分に言い訳をします。また、仕事をしていると「こうあるべきだ」という『あるべき論』で考えてしまうことが多々あります。
私も一時期「自分は本来こうしたい」という思いと、「リーダーとしてこうするべきだ」という思いの心理的な距離のギャップである『役割の距離』にはまったことがありました。仕事をしていて、どんどんそのギャップにストレスを感じるようになり、「いったい俺は何をしたいのだろうか?」と悩んだ時期もありました。そんな時に友人から、
「人生1回なんだからさ、お前らしくすることが大切なんじゃないの」
とアドバイスをもらい、何か胸のつかえが取れたような気がしました。
その後、自分がどうしたいかを大切にするようにしたら、今まで以上に周囲の協力や賛同が得られるようになり、演じた自分には魅力がないことに気付き、自分に正直でいることの大切さを学びました。

時が経ち2011年3月、あの東日本大震災が起きました。その数ヵ月後、被災地である宮城県の雄勝(おがつ)町というところを訪れた際、友人がボランティアで住み込んでいた家の近くの少し高台に、雑草も生えていない中、古くて小柄ながら1社の神社が残っていました。その神社へ友人に案内をされた時、神社の名前が「作楽(さくら)神社」だと知りました。私は名前を見た瞬間、自分の次なる座右の銘を決めました。それは、

「人生1回!作楽咲く!」

です。これには私の決意があります。
「あの大災害の中で生き残った神社。私の人生もこれからいろいろな困難が待ち受けていると思うが、必ず生き残って頑張っていく。そして、人生1回なのだから、桜の木がたくさんの花を付けるがごとく、自分の人生にたくさんの“楽しい”という花を咲かせて、桜の木が人を魅了するがごとく、仕事でいかにたくさんの人々を魅了していけるかを大切にしたい」
そんな思いを込めて決めました。あなたは、ぶれない人生を生きるために、自分にとって意味のある座右の銘を持っていますか?

 

shima嶋津 良智(しまづ よしのり)

一般社団法人日本リーダーズ学会代表理事、リーダーズアカデミー学長。2度の株式上場を経験、日本・シンガポールなどアジアを中心に経営コンサルとして活動。世界14都市でチャリティービジネスセミナーも開催。最強の部下を育成し、最強の組織を作ることで業績向上に寄与する独自プログラム『上司学』が好評を博す。著書累計は100万部超。韓国・中国・台湾でも翻訳されている。

リーダーズアカデミーウェブサイト:www.leaders.ac

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.287(2015年09月07日発行)」に掲載されたものです。

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