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嶋津良智の「リーダーにつける薬」

2012年1月1日

夫のリーダーシップが子を増やす?

最近非常に目に付く記事があります。それは、子育て支援に関する記事です。
企業にアンケートをとると、9割が従業員の子育て支援が人材確保に有効と感じており、特にこれから少子化が進む中で女性の人材確保に有効と答えています。優れた人材の争奪戦が激しくなる中で、子育て支援は企業の競争力を左右する経営課題になってきています。

 

その反面子供を持つ家庭の2割が「子供の育て方に自信が持てない」と悩んでおり、「1週間の父子の会話が10時間未満」が半数と、父親の子育てに対する関わり方の薄さが伺えます。そして、更に父親の8割が「家事や育児は妻任せ」という夫の協力度に、妻の半数が不満を抱いているそうです。夫の育児への協力度が高いほど、子供の数や妻が欲しいと思う子供の数が多い傾向にあることも判明した。

 
先日あるテレビで少子化に関する討論をしていたのですが、ある女性のコメンテーターが「日本の男性は外国の男性に比べて、子供や女性やお年寄りに優しくないのも原因だと思う。日本の男性は乳母車に赤ちゃんを乗せて階段の下で立ち往生をしていても助けようとしないし、電車で妊婦が目の前に立っているのに座席に座ったまま知らん振り。これでは、女性も安心して子供を産めない」とおっしゃっていました。以前私の妻が駅の階段で転んだときに「誰も助けてくれなかった」と言って嘆いていたのを思い出しました。

 
少子化にはいろいろな問題が深く絡み合っていますが、女性の晩婚・晩産化、非婚化が進み、子育てに伴う経済的負担の重さや仕事との両立の難しさが、女性に出産をためらわせている面が大きいとはいえ、個人の価値観に左右されやすい晩婚・晩産化を食い止める即効薬はなかなか見当たらないのが現状かもしれません。

 
仕事と家庭の両立支援が手厚い企業は、社員のやる気や一人当たりの経常利益が高いという調査結果もあります。大手の企業とベンチャー企業とでは現実問題の差はあるにせよ、少子化を防ぐためにも、今こそ『企業』と『男』が自分に何ができるかを考えて、立ち上がる時かもしれません。

文=嶋津良智(しまづよしのり)


株式会社リーダーズアカデミー
代表、シンガポール在住。
2度の株式上場体験を活かし、日本・シンガポールを始め、アジアを中心に経営コンサルとして活動。世界9ヵ国12都市でチャリティーセミナー実施。
最強の部下を育成し、最強の組織を作る、業績向上のための独自プログラム『上司学』が好評を博す。著書7冊執筆、韓国・台湾でも翻訳されている。

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.203(2012年01月01日発行)」に掲載されたものです。

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