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嶋津良智の「リーダーにつける薬」

2012年4月2日

やるべきことをしない部下には“細分化反復法”を使え!

「ちゃんと説明したので分かってくれているはず」
「何も言わなくてもあいつは分かってくれる」
などと、上司としてはそう思いたい部分ですが、残念ながら1度や2度の説明、ましてや「何も言わなくても分かってくれるはず」というのは上司の妄想に過ぎません。もし、分かっているのであれば、やるべきことはちゃんとやるのが人間です。要するに、できないということは分かっていないのです。

 
行動を起こさない人には2種類のタイプがいます。それは、分かっているのにしないタイプの人と、やり方がわからない人です。

 
では、分かっているのにやらない人にはどう対処すればいいのでしょうか。人はやるべきことに疑問・異論(反論)・不安があるとなかなか動けません。まず、このタイプの人はよく話をして、この3つのどこに問題があるのか把握をし、やらない「NO」を「YES」に変換してあげるよう、紐解いていってあげることが必要です。

 
また、やり方が分からない人には、行動のレシピを提供してあげることが必要です。要するに、やり方を教えてあげるということです。やり方を教えるということは、成果を上げるのに必要な行動を分解して教えてあげることです。

 
皆さんは「細分化反復法」という言葉を聞いたことはありますか? これは私が中国出張時の工場見学時に考え付いた言葉です。人それぞれ、残念ながら能力も違えば、物事の習得するスピードも違います。そんな中でも、仕事をしていく以上は覚えていかなければならないことはたくさんあります。では、なかなか覚えてもらえなかったり、思ったような成果を出せない人がいたら皆さんはどうしますか? そんな時こそ「細分化反復法」を使ってください。読んで字の如しで、細かく仕事を区切って、その区切った仕事を覚えるまで1から反復させて、覚えたら次の区切った仕事に移らせるというやり方です。

 
たとえば、ある一つの成果を出すときに、細分化すると10の仕事になったとします。一気に10を教えて、「この仕事はこうやるんだよ。できるようになるまで頑張って」と言われるより、初めに10の仕事の1だけを教えて「これができたら次の仕事に移ろう」と言われる方が、教えられる側にしても見通しが立つ分、やる気も起きるのではないでしょうか。
また、スピードこそ違えど、みんなができるようになったら、10の仕事のうち、どの仕事でも任せられるようになるわけです。

 
はっきりいって教えるのは大変です。しかし、一見遠回りのようで最終的には近道のような気がします。

文=嶋津良智(しまづよしのり)


株式会社リーダーズアカデミー
代表、シンガポール在住。
2度の株式上場体験を活かし、日本・シンガポールを始め、アジアを中心に経営コンサルとして活動。世界9ヵ国12都市でチャリティーセミナー実施。
最強の部下を育成し、最強の組織を作る、業績向上のための独自プログラム『上司学』が好評を博す。著書7冊執筆、韓国・台湾でも翻訳されている。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.209(2012年04月02日発行)」に掲載されたものです。

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