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ビジネス体験・日本流とシンガポール流

2013年2月4日

朝令暮改は商売の王道

朝令暮改は、日本の企業社会で信頼できない、あるいは無能な経営者もしくは上司としてのイメージを持っています。朝令暮改を避けるため、経営者/上司は物事を決めるに当たり、あらゆる条件、状況を想定し、検討し、時間をかけ熟慮の末に決める、というのが日本企業社会のしきたりです。この様な決裁プロセスで社内の経営方針は決められるので、朝決めた方針が夕刻には変更になる事は日本の経営システムではありえないのです。熟慮の末に関係者全員合意の下決裁するのであるから、関係者皆で最後まで想定通りに運ぶ(運ばされる?)よう努力をするのです。

 

 

対して、当地での商売は物を見る目、早さ、感覚が物を言います。ある物件が良いと思えば、まずツバをつけて押さえてから検討。実際見立て通りに良ければそのまま保有するし、もし良くない兆候があれば即手放します。短期間でも多少の損が出ても手放します。損は事業経費と考えます。

 

 

商売案件を幾ら検討しても、最後までは誰も見通せません。商売は所詮ギャンブル。そこで分かる範囲内でできる事を計画します。それが違っていれば即方向を修正。これが当地の商売の王道です。朝令暮改が商売の王道・基本と言うわけです。

 

 

特に最近のビジネス・経営環境は絶えず早く変化しています。新たな状況が出現したら、それに対応した施策を策定し即実施に移す。さもなくば、商機を一瞬にして逃す事になります。社内の情報共有、決定システムもEメールのcc(カーボンコピー)を利用した関係者全員との交信とします。これにより早期の決裁が実現できます。日本企業は、時として朝令暮改を嫌い、状況に変化が見られても当初の決裁方針を堅持しようとし、企業目的と反する方向へと突き進んでしまう場合が見受けられます。

 

 

これに関連して、感心させられるのは、当地の契約書は朝令暮改の商習慣を反映してか、あらゆる場面、状況を想定して契約条項が規定されている事です。従い、契約書は通常かなり長くなります。対して、あらゆる事を検討する日本の商習慣に基づく日本の契約書は“上記条項に定めなき事項に関しては、甲乙双方の話し合いによる事”となり、かなり短い契約書となっています。が、これは後になってもめることがよくあるものです。契約書にも、事業案件の決裁の場合と同様に、想定される場面をすべて盛り込んでおくべきです。

 

 

日本的な事業計画/事業検討書類を基に契約書を作成する場合は、かなり具体的な条項も記載し、後々問題が発覚した場合にも対応できる条項を入れておくことで、もめ事の発生頻度をかなりの程度減らす事が可能になります。
もめ事が実際に発生し裁判、仲裁に行くような事になった場合の労力と時間を考慮すると、ある程度詳しい契約書を作成される事をお勧めします。ご経験者には賛同頂けると思います。

 

 

今月のスナップショット

イースト・コースト・パークのアイランド・リゾート近くのカー・パーク(CP)D1とD2の間にある池にて撮影。トンボが止まる小枝を探し、カメラを構えて後はトンボが来るのを静かに待つのみ。

文=ケルビンチア・パートナーシップ法律事務所・丸茂 修

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.228(2013年02月04日発行)」に掲載されたものです。

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