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2015年7月6日

リーダーシップ編〈第6回〉私が部下から言われたい一言

私は、常日頃から自分のもとを巣立った部下から言われたいと思っている一言があります。それは、

 

「嶋津さんの下で働けて本当に良かったです。おかげさまで仕事や人生を生きていく上で一生の財産を手に入れ、こんなにも成長することができました。でも、また嶋津さんのもとで働くのは勘弁です(笑)」。

私は自分のできる限り全力で部下と接します。その分、部下側からすると非常に負担になったりプレッシャーになったり、ある意味迷惑だと思うこともあるでしょう。
しかし、私は気にしません。なぜなら、私は「必ず部下の成長に繋がることだ」「部下への最大の貢献は、成長というプレゼントを贈ることだ」という信念のもとに接しているからです。時には本気だからこそ、部下にしてみると迷惑に感じるようなことをしてしまったり、「暴言」を吐いたりしてしまうこともあります。
ただ、多少の荒さはあっても、部下自身が成長している実感を味わえ、上司も普段から常にオープンで自分らしさを理解してもらえるような接し方をしていれば、本人も理解してくれます。悪く言えば上司の扱いを覚えてきます。私の場合は部下にするとあまりにもわかりやすい上司なので、たまに間違ったことを言ったとしても流されているような気がして、更にむかつくことがありますが(笑)。
言われたい一言の文末にある、「でも、また嶋津さんのもとで働くのは勘弁です」について説明しましょう。
もし逆に、「また嶋津さんのもとで働きたい」と言わせてしまうということは、私にとっては部下の自立に失敗をした上司だと思っているからです。
「お腹のすいた人に、魚を釣ってやるか?これから困らないように魚の釣り方を教えてやるか?」という有名な話があります。私は最終的に自分の部下が何をやっても食べていけるように自立させることが大切だと思っています。上司と部下の間にはそれぞれが独立した人間である以上、どんな場面でも応用が利くような教育をして、後はある程度本人に委ねるしかありません。
だからこそ、世の中はそんなに甘くないので、「人よりいい人生を送りたい」「人よりいい仕事がしたい」と思う部下に、上司が多少厳しくもなるのも普通だと考えています。
あなたは本気で部下と接していますか?部下の皆さんは本気で自立をするために、上司と共に成長を実感する仕事ができていますか?

shima嶋津 良智(しまづ よしのり)

一般社団法人日本リーダーズ学会代表理事、リーダーズアカデミー学長。2度の株式上場を経験、日本・シンガポールなどアジアを中心に経営コンサルとして活動。世界14都市でチャリティービジネスセミナーも開催。最強の部下を育成し、最強の組織を作ることで業績向上に寄与する独自プログラム『上司学』が好評を博す。著書累計は100万部超。韓国・中国・台湾でも翻訳されている。

リーダーズアカデミーウェブサイト:www.leaders.ac

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.283(2015年07月06日発行)」に掲載されたものです。

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