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2010年7月19日

インドは、太陽光発電の大幅な拡大を計画・他

インドは、太陽光発電の大幅な拡大を計画

ロイターの2010年6月18日付記事「焦点:インドが太陽光発電拡大へ、参入に地歩固める外資系」は、インドが太陽光発電の大幅な拡大計画を打ち出し、アジアや欧米企業が開発市場への参入を狙っているというもの。「第一段階では2013年までに35億米ドル(約3,100億円)規模の投資となり、外資系は国内企業より有利に展開する見込みだ」とのことです。

インドの現在の太陽光発電能力は30Mwですが、2022年までに20Gwに拡大させる計画です。総投資規模は700億ドル(約6兆2,000億円)となる見通しで、米ファースト・ソーラーや中国のサンテック・パワー、台湾の茂迪科技などが参入機会をうかがっています。仏アレバ再生可能エネルギー部門のスリバスタバCEOもインドでの提携先を模索しています。茂迪科技は、インドのソーラー・セミコンダクターに電池供給でも合意しています。

太陽光アナリストは、当面は中国と台湾勢が有利になるだろうが、長期的には国内勢による生産に移行するとの見通しを示しました。

インドの増大する電力需要や太陽照射が高いことを考えると、太陽光発電にとっては理想的です。しかしインドは、太陽光電池やパネルに利用するシリコンウエハーなど重要な素材は輸入にかなりの部分を依存しています。インドは太陽熱発電に利用する太陽集光器は製造していますが、技術力という点では業界はまだ開発途上です。

太陽光発電の分野での国内の主要企業は、タタ・パワーTTPWと英BPの合弁であるタタBPソーラーや、モーザー・ベアMOSRで、それぞれ事業拡大を打ち出しています。

インドの電力大手NTPCは、石炭発電の8倍のコストで、第一段階での1GWの電力を購入します。電力会社はこれらの太陽光発電による電力を、コスト安の電力と抱き合わせで配電会社に売却し、結局太陽光のコストは電力料金に反映されることになります。

インド政府は、今後3~5年のうちに各種太陽光プロジェクトを提示する見込みです。

 

早い意思決定、現地への権限委譲と徹底した現地化の結果

日本BP2010年6月15日付の記事「インドでターバン対応車までも販売する現代自動車」は、韓国企業の強みの1つである「新興国市場の先取り」を示すもので、韓国勢は、ゴールドマン・サックスが2001年11月に発表した投資家向けレポートに従い、BRICs市場の開拓にいち早く乗り出している、という内容でした。韓国企業は、低価格市場を狙ってマーケティングを強化、ボリュームゾーンで利益を得ました。新興国市場では消費者が品質よりも見栄えで製品を選ぶ傾向があり、このニーズを汲んだ商品の開発に注力したのです。

また、韓国企業のオーナー経営者による早い決断は、新興国企業のオーナー経営者に好まれ、オーナー同士が意気投合すれば契約や実行が速く、大規模な投資判断も行えます。当初は、米国市場に偏重した日本企業との棲み分けを、韓国企業が図った面もありました。例えば現代自動車はBRICsにいち早く目をつけ、リスクをものともせず投資を断行しました。特にトヨタ自動車が出遅れていたインドについては、グローバルな生産・輸出拠点と位置づけています。そして、「i10」「i20」などの低価格の最新モデルを投入しました。

ただし、製品の開発面では、徹底した現地化を図りました。ターバンを使う一部の人種のために天井を高くしたり、頻繁にクラクションを鳴らす運転手が多いことから、ハンドルのクラクションのスイッチを増やしたり、かゆいところに手が届く仕様変更も行ってきました。また、2008年には外資系自動車メーカーとして初めて、研究開発拠点をインドに設けています。経営・人事面では、現地法人の社長にインド財務部次官出身者を迎え、その人脈を生かしたマーケティングや対現地政府への対応を強化しました。

現地のニーズに細かく応えるマーケティング優先の商品開発は、こうした人的ネットワークによって支えられている部分があります。その結果、2008年にタタ・モーターズを抜いてインド自動車市場でシェア2位を達成しました。インドで現代自動車が成功した理由は、インド人のトップや幹部など現地への大胆な権限委譲と、現地のニーズをくみ取った製品開発と言えます。

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土肥克彦(有限会社アイジェイシー

福岡県出身。九州大学工学部卒業後、川崎製鉄入社。東京本社勤務時代にインドでのソフト開発に携わる。2004年に有限会社アイジェイシーを設立し、インド関連ビジネス・サポートやコンサルティング・サービス等で日印間のビジネスの架け橋として活躍している。また、メールマガジン「インドの今を知る!一歩先読むビジネスのヒント!」を発行、インドに興味のある企業や個人を対象に日々インド情報を発信中。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.171(2010年07月19日発行)」に掲載されたものです。

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