2009年4月6日
『世界は感情で動く』マッテオ・モッテルリーニ
当社出版の「経済は感情で動く」の第二弾。行動経済学の入門書として非常に面白かった前作と同様、具体例を挙げながら、人間とは実に不合理な生き物だという教えてくれる。
但し、本書は経済活動だけに特化せずに、「今のままが一番良い」という現状維持を選んでしまいがちな人間の側面を見せてくれたりしており、もっと読みやすくなっている。話のタネにもなるので、一読の価値はありかもしれない。
例えば、本書パート3の「集団のなかでの困った判断」では、占いはどうして当たるのか?、人は何故他人には辛く自分には甘いのか?を説明してくれる。
それにしても、あらためて人間の脳には感心する。「見えてはいても、見ていない」ことがあることに本書で改めて実感させられたのは、映画「パルプ・フィクション」のワンシーンだった。
何度も見ており、DVDも持っているのだが、ここで言われるまで気付かなかったのは、正直なところショックである。ただし、認めたくはないので、まだそのシーンをDVDで確認してはいない。
紀伊國屋書店
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.142(2009年04月06日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 茂見