2026年9月8日
新卒就職市場は厳しくも「雇用は生まれている」
シンガポールの社会政策担当調整相のオン・イェクン氏は9月7日、大学新卒者を取り巻く就職市場が厳しくなっていることを認める一方、国内経済は成長を続け、新たな雇用も生み出しているとして、若者に過度に悲観しないよう呼び掛けた。
約250人の学生を前に講演したオン氏は、シンガポール経済について「衰退または停滞している経済に入っていくのではない。成長し、投資を呼び込み、依然として活力のある経済だ」と強調した。
一方、新卒者の就職環境は以前より厳しくなっている。Graduate Employment Surveyによると、卒業から6ヵ月以内に就職した卒業生の割合は2023年の92.9%から2025年には88.9%へ低下。2025年卒業者のうちフルタイム職に就いた割合も74.4%で、2022年の87.5%を下回った。
ただ、政府はこれを若年層全体の雇用悪化とはみていない。25~29歳の大卒者の就業率は過去10年間、おおむね90%前後で安定しており、新卒者が最初のフルタイム職を得るまでの期間が長くなっている側面が大きいとしている。
オン氏は、AIが定型業務を代替する時代には、大学の学位だけでなく、自分が関心を持つ分野で専門性を磨くことが重要だと指摘。「学位は扉を開くかもしれないが、仕事を極めることがプロとしての価値を決め、最大の競争力になる」と述べた。
AI普及で若者のキャリア形成が変化する中、専門性と実務能力をいかに身につけるかが、新卒者の就職競争力を左右しそうだ。

