2026年7月23日
DBS、運用資産1兆Sドルを目標に事業拡大 アジアで600人超を新規採用へ
シンガポール最大手銀行のDBSグループは、2030年までにウェルスマネジメント事業の運用資産(AUM)を1兆Sドルへ拡大する目標を掲げた。2025年末時点の6,320億Sドルから約60%増を目指すもので、アジア地域で拡大する富裕層需要を取り込む戦略を加速させる。これに合わせ、2028年までにウェルスマネジメント担当者やプラットフォームエンジニアなど600人以上を新規採用する計画である。
採用はシンガポールのほか、香港、中国、インド、インドネシア、台湾などDBSの主要市場で進められる。また、2027年までにアジア各地で18ヵ所の新たなウェルスセンターを開設するとともに、既存36拠点を改装・拡張する予定で、同行にとって過去最大規模の資産運用ネットワーク拡充となる。富裕層や超富裕層だけでなく、中間富裕層まで含めた幅広い顧客層へのサービス強化を図る。
DBSは近年、人工知能(AI)の活用にも積極的に取り組んでいる。顧客審査や資産分析の効率化、営業担当者向けの提案支援などにAIを導入した結果、顧客対応時間の拡大や業務効率の向上につながっているという。同行はAIを人材の代替ではなく、生産性を高めるツールと位置付けており、今回の採用拡大もデジタル化と人的サービスを組み合わせた成長戦略の一環としている。
背景には、アジアで富裕層人口が急増していることに加え、シンガポールが世界有数の資産管理拠点として存在感を高めていることがある。地政学的リスクの高まりを受け、資産をシンガポールへ移す個人やファミリーオフィスが増加しており、銀行各社はウェルスマネジメント分野への投資を競っている。DBSもこうした資金流入を取り込み、世界有数の資産運用機関への成長を目指す考えである。
今回の計画は、シンガポール金融業界が従来の預金・融資中心のビジネスから、資産運用や富裕層向けサービスを成長の柱へ移行していることを象徴している。AI活用、人材投資、店舗網拡充を同時に進めるDBSの戦略は、アジアのウェルスマネジメント市場における競争が今後さらに激しくなることを示す動きとして注目されている。

