2026年6月18日
大卒者と中高年層の解雇増加が鮮明に 2026年第1四半期の雇用環境に変化
シンガポール人材開発省(MOM)が発表した2026年第1四半期(1〜3月)の雇用統計によると、解雇者数が増加する中で、特に大学卒業者と中高年労働者への影響が大きくなっていることが明らかになった。
統計では、解雇された労働者のうち、大卒以上の学歴を持つ人の割合が上昇した。従来は比較的安定していると考えられていた管理職・専門職・技術職(PMET)でも人員削減が増加しており、ホワイトカラー層への影響が広がっている。
また、40歳以上の中高年労働者においても解雇件数の増加が目立った。企業が組織再編や業務効率化を進める中、高コスト人材の見直しや職務内容の変更が進んでいることが背景にあるとみられる。
近年は企業によるオフショアリング(海外移転)に加え、人工知能(AI)や自動化技術の導入が加速している。特に事務職や管理業務、定型的な専門業務では業務効率化が進み、一部職種で人員削減圧力が高まっている。
一方で、人材市場全体が急激に悪化しているわけではない。医療、介護、建設、エネルギー、サイバーセキュリティー、AI関連分野では引き続き求人需要が堅調であり、人材不足が続いている業界も少なくない。
全国労働組合会議(NTUC)は、解雇された労働者からの相談件数が増加していると明らかにしており、特にPMET層からの再就職支援ニーズが高まっているという。政府もSkillsFutureなどを通じてリスキリング(学び直し)や職業訓練を推進している。
専門家は、今後の雇用市場では学歴そのものよりも、デジタル技術やAI活用能力など実践的なスキルの重要性がさらに高まると指摘する。今回の統計は、シンガポールの雇用市場が構造的な転換期を迎えていることを示しており、特に中高年の専門職にとって継続的なスキル更新が重要な課題となっている。


