2025年8月4日
シンガポール、マレーシア発の国境越えライドシェア全面自由化は見送り
シンガポール陸上交通庁(LTA)は8月3日、ジョホール州との協議で提案された国境を越えるライドシェアサービス(配車アプリ)の全面自由化について、「現時点でその計画はない」と明言した。
この声明は、8月1日にジェフリー・・シオ運輸担当代行大臣とジョホール州首相オン・ハフィズ・ガジ氏の会談を受けて出されたもので、マレーシア側からの報道では「国境を越える新たな交通手段としてライドシェアを導入する提案がなされた」とされていた。
LTAは、「会談ではライドシェアに関する議論はあったが、正式な決定には至っていない」と説明。現在は既存の「国境越えタクシー制度(CBTS)」を強化する方向で検討が進められている。CBTSでは、各国最大200台の認可タクシーが指定地点(シンガポールのバンサンストリートと、ジョホールバルのラーキン・セントラル)間で乗客を運ぶことが認められているが、現行の枠は十分に活用されていない。
LTAは、CBTSの利便性向上策として、乗降地点の追加や、ライドシェアアプリを通じたタクシー配車の導入を検討しているとした。また、「新たな制度設計においては、通勤者の利便性と共に、タクシーおよび民間配車ドライバーの利益保護も重視する」と付け加えた。
一方、LTAとシンガポールのバス事業者は、マレーシア陸上公共交通庁からの要請に基づき、国境バスの始発時間を現在の午前5時から午前4時へ前倒しする可能性についても検討中である。
SBSTが運行する160番系統は、平日は午前5時、週末・祝日は午前5時50分にジョホールバルを出発。170番系統やSMRTの950番系統も同様に早朝から運行しているが、混雑緩和のため、LTAは始発時間の前倒しや、民間事業者による高運賃での早朝便の導入の可能性について協議を進めている。
ジョホール州のオン・ハフィズ州首相は「ライドシェア導入は混雑の緩和や交通ネットワークの統合、マレーシア人ドライバーへの収入機会創出につながる」と主張しており、今後も両国間での交通改善に向けた対話が続く見通しである。


