2013年5月20日
『俺俺』星野智幸
マクドナルドで隣に座っていた男が忘れていった携帯電話。何となく持ち帰ったら電話がかかってきて、ついつい俺俺詐欺をしてしまう。そうすると、俺は別の俺になってしまって、実家に帰ってみると俺がいた。そのうち、母さんや同僚も俺になって、もうなにがなにやら。増殖しすぎた俺たちは、どこに行きつくというのか?
筋だけ書くとナンセンス極まりありませんが、読んでいくと状況が飲み込めてしまう不思議な小説。日常がすーっと非日常になって、SF世界の出来事がすぐ隣で起こっているような……。
亀梨和也主演で映画化され、5/25が日本での公開日です。「俺」達がどのように映像化されるのか、興味がひかれます。シンガポールでも上映してほしいものです。
新潮社/ISBN:9784101164526
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.234(2013年05月20日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 河合