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Employer's Voice

2012年2月6日

現地採用員だからこそできる事

Kyocera Asia Pacific Pte Ltd シニア セールス エンジニア 横田 篤 業種:電子機器・部品製造

来星4年目、駐在員でもなく、ローカル社員とも違う、現地採用の日本人としてシンガポールを中心にアジア全般で営業活動をさせて頂いております。

この「現採日本人」という存在、企業をローカル化させる上で、今以上に欠かせないポジションに将来的になるのでは?と私は考えております。一方で、日本の状況やシンガポール政府の外国人採用枠に対する方針の変更により、この国での採用活動にも変化が訪れてきていると感じます。このため「現採日本人」だからこそできる事は、私の企業貢献への生命線になりつつあります。

そこで、私が日々「もっと魅力的な現採になる為に」と頭を悩ませながら、実務労働中に心がけている事を3つ紹介させて頂きたいと思います。

1.「文化の橋渡し、英語はあくまでそのツール」

ご存知の通り、シンガポールは多民族国家です。言語が違えば、思考順序も異なります。はっきり言って、ミーティングも一苦労ですが、その後の実際のオペレーションがもっと大変です。例えるなら、走りながら覚えたい人と走る前に理解(把握)したい人の理解が同じなはずがありません。しかし、二人とも同じく「わかりました」と言いますから、後始末は御想像の通りです(笑)

この「わかりました」という事を、具体的に言ってもらえるように自分が行動し、周りにもお願いしております。具体的には、以下の3つです。

  1. 表現を変えて発言する。(例:成功時に相手を主語にして発言する)
  2. 数字、名前は極力使う。(特に、主語を付けて話す)
  3. 相手の目を見ながら話す。(相手の理解度を推測するため)

当たり前の様な事は、多民族国家では必ず表現する(してもらう)必要があります。

この能力に特化することこそ、長期滞在が可能な現地採用の日本人の強み、ではないでしょうか?

新しく来られた日本人の方々は英語のレベルに関係なく、どういった表現が適切かで時間を取られがちです。これは相手を思いやる日本人気質からだと思いますが、裏目に出る事も少なくありません。長期滞在の日本人が「橋渡し」をする事は、企業にとっても有意なはずです。

2.「相手に腹が立った時は、相手のいい所を探し、それを会話の中で”伝える”」

持論ですが、むかつく相手というのは、自分が思っている以上に似た部分を持っています。だからこそ、私は違う部分が気になり、そこが余計に腹が立ちます。

言い換えれば、実は分かりあえている部分がたくさんあるとも言えます。ここで”いい所を見つける”というのは、それだけ気持ちが寛容、冷静である必要があるからです。

いい所を見つけたら、必ずそれを発言します。

これは表現するのが苦手な日本男児としての私の短所を克服する目的、英語の練習、そしてもちろん、相手にもっと気持ちを容易に理解してもらう、という3つの利点があるからです。

3.「日本人らしさを重視し行動する」

海外での日本人の強みは、日本人らしさと日本語です。

私が考える日本人らしさとは、「おもいやり」と「おもてなし」です。例えば、レストランで素晴らしいサービスをするスタッフを営業に引っ張るといったことは、私はアリだと思います。

もちろん、最終的にこれを重視するという意味合いです。相手を理解するために、相手と同じ行動を取る時期は当然あるべきだと思います。

この3つは2ヵ国の文化を勉強する必要があるため、容易ではありません。

しかし、その苦労により、私達は有り余るものを得ます。それは「シンガポールという国を知った」という事です。日本以外の国を知るという事は、想像以上に様々な場面で私達を助けてくれます。

現採日本人は、企業にとってはまだ新しい存在かもしれません。だからこそ、このポジションの重要性を、現地実務担当の私達から企業へ発信すべく日々努力出来る事は、双方にとって利益になると信じております。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.205(2012年02月06日発行)」に掲載されたものです。

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