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表紙の人

Vol.346

2019年5月25日

中村かおり さん

ピアニスト、デザイナー

 アーティストのバックミュージシャンを夢見て、日本大学芸術学部音楽学科でピアノを専攻した。音楽一本で生きてこられたのは、夢を与えるプロになるという、幼い頃からの思いがあったから。順風満帆に見える人生だが、一度大きな挫折を味わっている。ピアニストになりたいと人生をかけたオーディションの最終選考で落選。あまりのストレスに顔半分がマヒした。
 
 「立ち直ったのは母のおかげ」と振り返る。「音楽以外のことに目を向けてみたら」と諭され、何が好きだったか必死で考えた。ロゴを書いたり本を作ることだったと思い出し、デザイン学校に通い始める。
 
 二足のわらじ生活を続ける日々。ふと、音楽への強い思いがこみ上げた。思い立ってすぐ応募したそのオーディション先にいたのが志村けんさん。この出会いが人生の大きな転機に。志村さんの三味線と自身のキーボードとシンセサイザーで共演、一座と日本中を回った。周りの反響もすごかったが、何よりも自らの自信につながった。「本当にいろんなことを経験させてもらった」とあっという間に過ぎた2年に思いを馳せる。その後、結婚を経て独立。夫の赴任で来星に至る。
 
 ピアノとボーカルの講師業も順調だが、もっと単純に音楽を楽しんでほしい、と資格取得目的で来る生徒への思いを吐露する。また、ポップスや映画音楽を創作した経験も当地で活かしたい。今興味があるのはラウンジミュージック。「アナログとEDM(デジタルミュージック)のコラボもやってみたい」とか。クリエイティブな引出しをたくさん持つために、毎日違うことをする。なるべく一人きりの時間を作り、食事やアート、旅先で、日常の小さな感動を見つける。「でも、一番大切なことは、自分の心の声に従うこと。これを徹底しないと病気になる」と語気を強める。「大好きなスイカのジュースを飲んで、南国のフルーツをたくさん食べる。これだけで十分に幸せ」。幸せ探しも得意なようだ。

 

聞き手: 内藤剛志 / 写真: Peter Lee

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.346(2019年6月1日発行)」に掲載されたものです。

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