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表紙の人

Vol.345

2019年4月25日

大井真理子 さん

BBCワールドニュース レポーター、プレゼンター

 

 子供たちが飢えに苦しんでいた―。偶然目にしたBBCのニュースにくぎ付けになった時の事を今でも鮮明に覚えている。映像の持つメッセージの強さに衝撃を受けた。将来の夢を決めた瞬間だ。

 

 アムラーが全盛期だった頃、メイクにお洒落、カラオケで青春時代を駆け抜けた。英語を学ぶために選んだ先はメルボルン、忘れもしない4月21日、16歳の春である。

 

 夢を実現すべく渡った先はNY。雇ってくれと直談判もことごとく玉砕。途方に暮れていた中、リーマンショック前だった当時、「担当したがる新卒記者が少ない経済ができると有利だ」と貴重なアドバイスをもらった。

 

 ひたむきさが実を結び、2004年にロイターでのインターンシップを経て、2005年にブルームバーグの東京支局へ。地道に積み重ねた実績が即戦力になると評価され、2006年、長年の夢だったBBCへの採用が決まる。これを機に来星、当初はフリーランスプロデューサーとしての入局だったが、仕事ぶりが評価され、同社ワールドニュース部門で日本人として初のテレビレポーターに就任を果たすことになる。現在は『Asia Business Report』や『Newsday』などでレポーター、プレゼンターとして日夜、活躍中。今やテレビで彼女を見ない日はない。

 

 順調満帆に見えるこれまでの人生だが、外国人として海外で暮らして経験したり考えさせられたことが、取り上げてきた記事の数々に反映されていることはあまり知られていない。夢を抱いて意気揚々と向かった先で、他国の留学生との歴史認識の違いを目の当たりにし、自らの無知を悔いたこともある。若かりし日々の痛烈な経験が彼女のアイデンティティの土台となり、ジャーナリストとしての今を支える。

 

 趣味は特にない。あえて言うなら、報道。だから、子供が生まれて初めてワークライフバランスが取れるようになった。週末は子供と過ごすことが極上の幸せ。挫折すら力に変えるパワフルな彼女がその場にいるだけで、明るい気持ちになれる。そんな人柄の魅力がにじみ出るレポートが、明日も待ち遠しくてたまらない。

(文:舞スーリ/Peter Lee)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.345(2019年5月1日発行)」に掲載されたものです。

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