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会計・税務相談

2010年6月7日

Q.パーソナライズド・エンプロイメントパス(PEP)について教えてください。

パーソナライズド・エンプロイメントパスについて

通常のエンプロイメントパス(EP)は、雇用主が採用を予定する外国人従業員のために申請する就労ビザで、従業員はEP許可書に記載された雇用主および職種に限定して就労が許可されます。これに対して、PEPは個人に対して許可されるものであり、雇用主や職種が限定されないため、就労ビザの有効期間中に自由に転職することが可能です。また、一時的に失業したとしても最長6ヵ月間の滞在が認められており、その間にシンガポールで就職活動を行うことが可能です。

 

PEPは、以下の個人が申請できます。

 

    • 外国人専門職者
      シンガポール国外で専門職として就労する外国人
      PEP申請直前6ヵ月以内の月額給与がS$7,000以上であること

 

    • P1パス取得歴者
      過去にP1パス取得歴があり、現在シンガポール国外に居住する外国人
      PEP申請直前に6ヵ月以上無職でないこと

 

    • P1パス保持者
      追加要件なし

 

    • P2パス保持者
      Pパスにて2年以上の就労経験を有すること
      前年の所得がS$30,000以上であること

 

    • Q1パス保持者
      Q1パスにて5年以上の就労経験を有すること
      前年の所得がS$30,000以上であること

 

  • 外国人卒業生
    シンガポールの高等教育機関を卒業した外国人
    PパスまたはQ1パスにて2年以上の就労経験を有すること
    前年の所得がS$30,000以上であること

 

PEP保持者の配偶者および子供には、通常のEP保持者と同様にディペンダントパス(DP)が発行されます。また、Pパス保持者は、長期滞在ビザにより両親または義理の両親を呼び寄せることができます。

PEPが許可された場合の有効期間は5年で、更新はありません。また、PEP保持者には起業は認められておらず、起業する場合にはアントレパスを取得し直さなければなりません。

 

PEP保持者は、PEPの有効期間中、以下の点に留意しなければなりません。

 

  1. シンガポールにおける無職の期間が6ヵ月以上継続しないこと
    (雇用主の命令によりシンガポール国外で就労する期間も無職期間に含められます。)
  2. 各暦年の年間所得がS$30,000以上であること

 

PEPの申請は、オンラインまたは窓口にて行うことが可能です。オンラインで申請する場合には、シンガポール政府の各種オンラインサービスを利用するためのIDコードであるSingPassを取得していなければなりません。審査期間は、オンライン申請の場合には約2週間、窓口申請の場合には約5週間です。申請にかかる料金は、申請料S$10と、PEP発行料S$150および査証料S$30です。

 

PEP保持者が就職または退職する場合には、PEP保持者個人および雇用主のそれぞれが人材省(MOM)に届出を提出しなければなりません。また、退職時には、通常のEP保持者と同様に内国歳入庁(IRAS)にFORM IR 21を提出して個人所得税の精算を行う必要があります。

取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.168(2010年06月07日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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