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ビジネス体験・日本流とシンガポール流

2013年4月15日

性善説よりは性悪説への対応を検討しよう

日本の社会は性善説が強く、特に日系企業は現地企業との合弁事業開始に当たってはあまり悪い話はしたくないのが本音です。ところが合弁事業の場合、悪い話ができるのは署名前の時点までなのです。それで話が壊れても、合弁の相手はほかにいくらでもいます。それで壊れるのなら、その時点で壊れてしまって良かったと考えることもできます。

 

 

当地の社会は性悪説が主流です。契約書を見ると分かりますが、あらゆる場面を想定して作成されていますので、かなり長くなっています。日本の企業と現地企業が商売を始めるにあたり、両社の合意事項を文書にまとめて合弁契約書として事業を開始する。共同事業に関する有意性、方針、人員、組織等は事細かに打ち合わせ、詳しく文書にして行く。お互いに新規事業に着手するということで気持ちも高揚しており、新規関連部分事項の打ち合わせ、合意はスムーズに運ぶものです。これを基にして合弁契約書が作成されます。

 
ただし、当然合弁事業は有利な状況にも、不利な状況にも遭遇します。有利な状況に直面した場合は問題とはなりません。しかし不利な状況となった場合は、先方との事業の再建、改善に向けた検討を開始せねばなりません。検討には時間が必要なばかりでなく、途中かなりの紆余曲折が予想されます。

 

 

困難な状況の発生をなるべく避けるために、また、ビジネス・ベースで先方と解決策の打ち合わせをするためには、当初契約書に想定される問題が起きた場合の解決手法をある程度署名前に打ち合わせし、合意しておくことが大事です。不利な状況が出現すると、お互い余裕を持って正常な打ち合わせをすることが難しくなります。感情論も入ってきて、通常のコミュニケーション・チャネルが作動しなくなるからです。

 
例えば当初想定と違って業績不振が続く場合です。合弁契約書に2期連続で営業収支赤字が続く場合は、事業中止を前提に両社協議する事とするという条項が記載されていれば、お互いに言い出さなくとも事務的に協議が始まります。また、さらに打ち合わせ前に行われるべき調査事項、それに基づく報告書の骨子を定め、打ち合わせの内容、出席者等まで記載しておけば、早い対応が可能となります。

 

 

所詮、他人同士が集まって新規事業を開始するのですから、両社の間で想定されない事が起こるのは当然と言えば当然です。また、両社は異なった文化圏に属しますから、両社の責任で無く文化の違い、常識の違いがあります。その場合でも、交渉のベースはあくまで自社の利益の実現をいかにして最大化するかということです。
当地にて事業をする場合は当地の文化、常識、メンタリティーを考慮した交渉をし、それに基づいて想定される諸種状況、条件を織り込んだ契約書の作成をお薦めします。

 

 

今月のスナップショット

“オオハッカ”というお茶目な可愛い鳥です。動きが早く、良いアングルで撮れるかは“天”任せ。この日はかなり運が良い方でしたが、もう少し横を向いてほしかった。(写真:丸茂 修)

文=ケルビンチア・パートナーシップ法律事務所・丸茂 修

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.232(2013年04月15日発行)」に掲載されたものです。

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