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ベトナム

2006年3月6日

安らぎに出会う町「会安(ホイアン)」

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ベトナム中部の都市ダナンの南東約30kmにあるホイアン。トゥボン川が東シナ海に注ぐ河口近くの三角州に位置し、15~18世紀の間、貿易風と海の恩恵を受けて栄えた。ホイアンは、海のシルクロードの中継地点として、ポルトガル人、オランダ人、中国人とともに朱印船に乗った日本人も多く訪れた。

タイのアユタヤなどと同様に、15・6世紀には日本人町があった。後の鎖国制度により急速に日本人町は廃れ、港町としての地位をダナンに譲った後、ベトナム戦争での破壊も免れ、すっぽり切り抜かれたかのように古き良き時代を今に伝える町だ。人々が未だ日常を暮らす2km四方ほどの町並みが、1999年に世界文化遺産に指定された。我々の先人が訪れたということもあり、どこか懐かしい水辺の町である。

 

02シンガポールからダナンの空港まで飛行機で約3時間弱。そこから車で40分ほど走るとホイアンの町並みが見えてくる。車の数は少なく、埃を立てて忙しなく走る無数のバイクを横目に菅笠をかぶり天秤棒をぶら下げて歩く女性や、家路を急ぐ真っ白のアオザイを着た女学生が自転車で行き交う。京都の町屋のように入り口が狭く奥行きのある瓦葺きの木造の家々が並ぶ。背の高い建物もないせいか、まるでタイムスリップをしたような風景が気持ちを和ませてくれる。町を通り過ぎて数km行くと白砂のクアダイビーチに出る。往時はここに帆船がならび、荷物を積んだ小舟がホイアンの町迄上ったという訳だ。

ホイアンでの過ごし方は、他でもなく、今もなお人々が暮らす町並みをのんびりと歩き、気持ちをスローダウンして往時に思いを馳せる事。

世界文化遺産に指定されてから、町の見所も整備され一般に公開されている。歴史を学ぶに興味深い博物館や、中国からの移民達がそれぞれ建てた地方色豊かな福建会館などの集会所、關公廟などの寺院、代表的な建築様式をもつ家々などを見て回る事が出来る。無論、今となっては土産物やシルクのテーラーメイドなど観光客相手の店が大通りに面した店の大半を占めるが、ふと足を踏み入れたレストランやギャラリーが築200年の由緒有る家だったりする。そんな家の主は中国系のベトナム人が多く、お茶を注ぎながら、それぞれ皆が語り部のように家の事、先祖の事、そして町の歴史を話してくれる。

 

町歩きはここから

03来遠端(日本端)

ホイアンのシンボル的な建造物。1593年に造られ、日本人によって架けられたことから日本橋とも呼ばれる。屋根付きの木造の橋で、橋の中には小さな寺があり、橋のたもとでは、犬と猿の像が迎えてくれる。一説では橋の西側に日本人町があったと言われている。

夜になると、ホイアンで有名なランタンが軒先を彩り、幻想的な雰囲気を醸し出すので違う表情を楽しめる。気の利いたバーやレストランも多いのでいくつか立ち寄るのも一興。

 

ホイアンの町歩きで出会った人々

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Ms Le Thi Xuan Hoa

進記家(タンキーの家)のリー・ティーさん

約200年前に広東省からきた中国人によって建てられ、香料の貿易で財を成した商人の家。ホイアンの伝統家屋の中でもその内部の柱や梁の美しさで知られる。「日本、中国、ベトナムの様式が取り入れられた特徴的な造りをしています。」と元小学校教師で六代目の家主であるリー・ティーさんは穏やかに説明した。真珠貝が埋め込まれた黒檀の椅子はヨーロッパの椅子を模した形をしている。おそろいのコーヒーテーブルなど、調度品も美しい。川縁に立つこの家は、他の家の例に漏れず10月の雨期の頃は必ず2・3度は浸水するという。彼女の背の高さ程迄の水が来た事もある、と壁のシミをみせてくれた。

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進記家(タンキーの家)
101 Nguen Thai Hoc St. Hoi An

入り口は狭いが、奥に長い構造で、先祖を祀る祭壇も目の高さの位置にあり天井もかなり高い。2階にも部屋があり、ちょうど天井に人が通れるほどの四角い穴があいていた。「浸水して来たら、ぷかぷか浮いた家具をあの穴から引き上げます」と説明してくれた。

「私が小さいときは、祖父や親戚が、家の真ん中にある中庭に机を出して月明かりの下で晩酌をしながらチェスを楽しんだものです。」とまだこの家が、家族にだけ属していた頃の話を聞かせてくれた。世界文化遺産に指定されたとはいえ、やはり一番の苦労はこの家を守って行く事。外国人一人が訪れる毎にシンガポールドルで20セントの補助がでるが、それだけに頼っていくのは難しい。家の主として守り続けるプライドと将来への募る不安が笑顔の中に垣間見られた。五代目であるリーさんのご両親は健在だが、80歳を超えた彼らは静かな場所を求めて別のところで暮らしている。

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Mr Le Nguyen Binh

リーチングアウト・ハンドクラフトのビンさん

進記家から2軒隣にあるこのお店は、ホイアンに住む障害者の団体により運営されている。通りに面した家の前半分はハンドクラフトを扱うショップに、後半分を障害者が商品を作るための技術習得の場でもあるワークショップになっている。代表のビンさんも自ら車いすで暮らす障害者だ。「ベトナムでは、まだ障害者への認知がとても低い。社会参加できない障害者に、我々が技術訓練する機会を与え、彼らがつくる商品を販売し、その利益で彼らの自立の道を支援しています。」とビンさんは語る。16歳で医療事故のために車いすに頼らざるを得なくなった。夜間の学校で英語とコンピューターを学び、インターネットを自在に操るようになった事が転機となった。ネットを通してビジネスを独学で学び、コンピューターの学校を開いた。

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後にネット上でフェアトレード制度を知り、リーチングアウトの活動を始めた。ビンさんは国外の同じ志を持つ人々と情報交換のための国際会議にも出席し、ベトナムの障害者による工芸作品を紹介しながら、自分のワークショップでもできる新しい技術やアイディアを仕入れてくる。

最近は、知的障害者のために日本から狭織(さおり)の織物の技術を取り入れたという。

JICAによる補修事業の一環で、ワークショップにスロープや車いすに使いやすいトイレを改築する援助を受けたことも嬉しそうに話してくれた。「我々のワークショップだけでなく、ホイアンの町で日本の団体がいろいろ善意をつくしてくれています。少しでも恩返しをしたくて、日本人のお客様には3%割引させて頂いています」と微笑むビンさん。「自分は語学とコンピューターというスキルのおかげでいまのビジネスを立ち上げ、いまでは健常者の妻と元気な子供に恵まれました。社会に融合する能力が我々にあることを世の中に伝え、障害者への認知を高めることが私の使命なのです。」という言葉に元気をもらった。

 

旅のみやげ話

08ホイアン歴史文化博物館を訪ねると、「日本ベトナム文化交流協会」石碑を見つける。「日本とベトナムの先人の交流を称え、両国の恒久の平和と交流を誓う」と書かれ、同協会の理事長で、ユネスコ特別親善大使である俳優の杉良太郎の名前が刻まれていた。かつて日本人町のあった関係で、日本との民間交流は盛んなようで、「日本橋」や日本人墓地の修復プロジェクトなどもあるという。日本から東シナ海へと南シナ海突き進むと到着するのがここベトナム。400年の時を越えて、この遠い隣国と、ホイアンと出会う意味は意外に深いのである。

 

快適リゾートステイ

町の喧噪を離れて水辺を辿れば、快適な時間を約束してくれる個性的なホテルがある。外国人観光客の増加に伴い、滞在型のホテルも増えて来た。ホイアンの町から多少離れていても、各ホテルともシャトルバスサービスがあり、アクセスに問題はない。また、プライベートビーチを持つホテルもあるので、ビーチでのんびり過ごす事も出来る。

ホイアンリバーサイドリゾート

09敷地に足を踏み入れるとまるで何年もそこにある個人の邸宅にでも招かれたように、安らぎの空間が広がる。2000年にオープンしたこのホテルは、まさに古き良きコロニアル調の雰囲気がいっぱい。まず通される川ぞいのラウンジは、壁のない吹抜けの作りで、目の前には田園風景が広がる。日没後に到着するとカラフルな数百ものランタンが川面に流されているのに気がつく。何とも幻想的な光景を見ながらウェルカムドリンクを頂く。心憎いホテルの演出だ。レストランも隣接しており、川から吹く爽やかな風を楽しみつつ洗練されたベトナム料理を頂く事が出来る。涼しげなタイル張りのプールをはさんで、13ある二階立てのヴィラは、少しづつ角度を変えて美しくランドスケイプされた庭の中に建てられている。このホテルのオーナーは、ホーチミンのシルクブティックKhai Silkのオーナーでもありビジネスマンのホアン・カイ氏。デザインや部屋のインテリアを氏自らがプロデュースするほどで、なるほど調和のとれた部屋は、落ち着いた色調でセンス良くまとめられ、ノスタルジックな気分を盛り上げてくれる。

10窓を開けてバルコニーから見下ろす川縁の風景は、ゆるりと流れる水とともに旅人の疲れを癒してくれる。部屋にはベトナムスタイルとジャパニーズスタイルがあり、後者の部屋は、畳風の蓙の上にベッドが低く置かれ、欧米人にも人気がある。ホテルの中にロクシタンのショップがあり、お気に入りのアロマでくつろぐ事も出来る。スパなどの施設もあり、まさに隠れ家として何度でも訪れたくなるブティックホテルだ。

 

ホイアンパシフィックホテル

ホイアン随一のシティホテル。高級感のあるゆったりとした清潔な客室、全室バスタブ付きの充実した設備は、ある程度のスタンダードを常にキープしたい場合に最適。アメリカ人や日本人のグループツアーが定宿にしているのが頷ける。プール、フィットネスセンター、スパもある。ホイアンで一番高い七階建てのホテルの屋上は、テラスになっており、レストラン、バーが併設されている。田園風景を眺めながら人々が慌ただしく出かける鷺色の朝の光景を見下ろし、夜は手が届きそうな星空を見上げながらビールを頂く事も可能。又、毎晩レストランのステージで伝統舞踊のショーがあり、旅に彩りを添えるのに最適。プライベートビーチまでの送迎サービスもあり、ビーチでのんびり過ごすアレンジもしてくれる。

 

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ライフリゾートホイアン

132004年にできたフレンチコロニアルスタイルのリゾートホテル。ホイアンの町まで徒歩で出かけられるのが嬉しい。市場迄すぐそばのロケーションだが、ホテルの中は別世界のようにゆったりと時間が流れる。94部屋ある比較的大きいリゾートだが、フランス人の建築家によるもので、色使いやディテールのこだわりはさすが。各部屋の入り口にはソファを作り付けたテラスがあり、部屋の中も段差をつけた作りになっており、シンプルなインテリアのなかに開放感のある空間を作り出している。川沿いにある大きなプール、室内とアウトドアで楽しめる漢方を配合したトリートメントが受けられるスパもあり、リゾート気分を十分に盛り上げる。こだわりのカフェやレストランでは本格的なヨーロピアン料理が食べられる。シェフが自ら魚市場で仕入れてくる魚介類で作るシーフードプラッタがおすすめ(要予約)

 

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ホイアンビーチリゾート

15トゥボン川とクアダイビーチの間に挟まれるように立つユニークなホテル。正面玄関の前には白砂のビーチが広がり、オープンエアの広々としたレストランからは川面と田園風景が見渡せる。キャノピーがついた部屋はシンプルなベトナム風のインテリアでとても広々している。家族連れでも十分くつろげるスペースが貴重だ。ビジネスセンターやダイビングショップもあり、設備が充実している。町までのシャトルバスはもちろん、ホテルのボートで川をさかのぼり、町まで送ってくれるサービスもある。朝は町歩き、夕方はビーチでのんびり、という欲張りなステイが楽しめる。

 

グルメ@ホイアン

三大名物といわれる食べ物は、カオラウ、ホワイトローズ、そして揚げワンタン。どれも日本人の口に合い、美味。400年ほど前に日本人がベトナムに伝えた料理といわれるカオラウは、伊勢うどんが原型といわれ、濃い目のたれに米麺とハーブを混ぜるようにして食べる。ホワイトローズは、米粉で作った皮にエビのすり身をつめて蒸し上げたもの。ニョクマムにつけて頂く。皮が半透明に白くバラのように見えるためというのがその名の由来だそう。揚げワンタンは、豚肉とエビのすり身をワンタンの皮ではさんで揚げたもの。店によって違うが、とろりとした中華風のあんがかかっている。

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この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.069(2006年03月06日発行)」に掲載されたものです。
文= 桑島千春

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