シンガポールのMRTシティホール駅で、エスカレーターの左右両側に立つよう促す案内が設置され、通勤客の間で話題となっている。長年続いてきた「左側に立ち、右側を急ぐ人のために空ける」という習慣を見直す動きとして注目される。
11月5日、ラッフルズシティ方面の出口付近で、鉄道運営会社SMRTのロゴが入った立て看板が確認された。乗客が左右に並んで立つイラストとともに、段を共有して人の流れを円滑にするよう呼びかける文言が記されていた。近くには、エスカレーターの左右どちら側に立ってもよいと案内する黄色い表示もあった。
従来の片側空けは、急いでいる利用者が歩いて追い越せる利点がある。一方、多くの人が左側だけに並ぶと乗り口に長い列ができ、右側のスペースが十分に活用されないという問題がある。2016年にロンドンで実施された3週間の試験では、両側に立つ方式によってエスカレーターの輸送能力が最大30%増えたと報告された。
中国の主要都市や日本の東京駅、台湾でも、エスカレーター上で歩かず両側に立つことを促す取り組みが行われてきた。韓国でも2026年、従来の片側空けを見直す動きが進んでいる。設備の片側に負担が偏ることを防ぐという保守上の利点も指摘されている。
シンガポールのSNSでは、朝の混雑時に左側だけ長い列ができることへの不満から、新しい案内を歓迎する声が上がった。一方、急ぐ人が追い越せなくなり、不便になるとの意見もある。
11月6日昼前の現地取材では、多くの乗客が引き続き左側に立ち、右側を歩く人も見られた。SMRTは取材に対し、記事掲載時点で詳細を明らかにしていない。今回の案内が試行なのか、他駅へ広がるのかは不明であり、全駅の利用ルールが変更されたと断定することはできない。
MRTエスカレーター、両側に立つ新案内 シティホール駅で話題
