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シンガポール港、競争力低下に警鐘 リー上級相が技術革新を訴え

 シンガポールのリー・シェンロン上級相は17日、アジアの競合港湾がデジタル化と自動化を急速に進めているとして、国内港湾の競争力維持には技術革新と労働者の技能向上が欠かせないと強調した。港湾労働組合(SPWU)の創立80周年記念行事で演説した。
 
 リー上級相は、中国・上海の洋山港などを例に挙げ、競合港の一部はすでにシンガポールに先行している可能性があると指摘した。港湾運営会社PSAは荷役設備の遠隔操作や無人搬送車の導入を進めてきたが、現状に満足すれば顧客を失いかねないと警鐘を鳴らした。
 
 一方、機械化が進むたびに既存の従業員を再教育し、新たな職務に移行させてきた取り組みを評価した。従来の屋外作業から、管制室で複数のクレーンを操作する仕事などへ役割が変化している。今後は人工知能(AI)、ロボット、センサー技術に加え、アンモニアやメタノールなど代替船舶燃料への対応も必要になる。
 
 リー上級相は、2000年代初めに主要顧客がマレーシアのタンジュン・ペレパス港へ移り、PSAが人員削減や賃金引き下げを迫られた経験にも言及した。経営側と労組の協力が競争力回復を支えたと振り返った。
 
 また、トゥアス港への移転で通勤時間が長くなった従業員への対応として、政府はバス便の増強やバス高速輸送システムの整備を検討している。気候変動や地政学的緊張による供給網の混乱も課題である。代替燃料の取り扱いには新たな安全手順が必要となり、今後はデータ分析や判断を担う職務も増えるとみている。港湾の高度化を進める際には、雇用の変化に直面する労働者を取り残さないことが重要だと訴えた。