シンガポール出身の靴職人チン・シーイン氏(37)が、日本の京都市で手作り革靴ブランド「Yanmaei(ヤンメイ)」を展開している。日本の伝統的な革製品製作技術を学び、足本来の動きを妨げない「ベアフットシューズ」の製造・販売に取り組んでいる。
チン氏はシンガポールの南洋芸術学院(NAFA)でファッションデザインを学んだ後、2014年に姉を訪ねて京都を旅行した際、革製品の製作に興味を持った。
その後、日本語を学び、2016年に京都の革職人の下で約1年間修業。2018年にはシンガポールで革製バッグや財布などを扱うブランド「Senkoubou」を立ち上げた。
しかし、手作業による生産量の限界を感じ、東京の製靴学校に入学。伝統的な紳士靴の製作技術を習得したものの、完成した靴を実際に履くと足が痛くなることに疑問を抱いた。
そこで注目したのが、薄く柔軟な靴底と幅広のつま先部分を特徴とするベアフットシューズだった。外反母趾に悩む母親にも履きやすい靴を作りたいとの思いから、従来の製靴技術を応用した新しい商品開発に着手した。
2024年には日本の経営・管理ビザを取得して京都に移住し、ブランドをYanmaeiに刷新。銀閣寺や哲学の道に近い浄土寺地区に工房を構えた。
現在はTストラップ型やひも靴など3種類を販売しており、価格は6万9,800円から。イタリア、日本、メキシコ産の植物タンニンなめし革を使用し、注文を受けてから手作業で製作する。
製作期間は最長6ヵ月で、生産量は2~3ヵ月当たり10~20足程度。顧客の大半は日本人で、工房を訪れて試着する人も多いという。
チン氏は今後、商品種類の拡充やスタッフの増員、一部工程の外部委託を進め、生産体制を強化する考えである。職人としての技術を維持しながら、持続可能な事業への成長を目指している。
シンガポール人女性、京都で手作り革靴ブランド展開 履き心地重視で事業拡大
