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政治

2026年10月8日

イスラム法改正案、離婚手続きを簡素化 子どもの福祉保護も強化

 シンガポール政府は、イスラム教徒の結婚・離婚手続きを簡素化し、離婚時の子どもの福祉を一層重視するイスラム法施行法(AMLA)の改正案を国会に提出した。文化・社会・青年省(MCCY)が10月6日に発表したもので、一部の離婚では手続き期間を6ヵ月以上短縮できる可能性がある。
 
 現行制度では、夫が妻に離婚宣言の権限を委ねる「talak tafwidh」による離婚でも、夫婦間の調停を行う「hakam」の選任が必要である。改正案では、双方が離婚に合意し、関連する問題も解決している場合、シャリア裁判所の判断でhakamを置かずに手続きを進められるようにする。これにより、調停段階で離婚を成立させることが可能となり、当事者1人当たり172Sドルの関連費用も節約できるという。
 
 また、婚姻関係の解消を裁判所に求める「fasakh」の一部について、現在必要な2人の証人による宣誓証言を免除できるようにする。夫が生活費を支払わない、行方不明になった、妻に虐待を加えた場合などで、書類など別の証拠によって事実を立証できれば、裁判所の判断で証人を不要とする。ただし、イスラム法上の離婚要件を満たしていることを証明する必要性は変わらない。
 
 子どもの保護も強化する。改正案では、子どもに関する判断で「子どもの福祉」を最優先事項とすることを法律に明記するほか、離婚した親の一方が子どもを海外へ移住させることを認めたり、逆に国外への連れ出しを禁止したりする権限をシャリア裁判所に明確に与える。国際結婚や海外赴任の増加に伴う家族環境の変化に対応するもので、一般の家族に適用される女性憲章(Women’s Charter)と同様の保護を目指す。
 
 海外で離婚したイスラム教徒についても手続きを一本化する。現在は財産分与、離婚後の金銭問題、子どもの親権などで複数の裁判所を利用する場合があるが、一定の条件を満たせばシャリア裁判所でまとめて扱えるようにする。
 
 このほか、外国人が関係するイスラム教徒の結婚では、申請前に少なくとも一方がシンガポールに一定期間滞在することを求める。政府は民事婚と同様の31日間を想定している。2025年のイスラム教徒の婚姻件数は5,006件と前年の5,184件から減少する一方、離婚件数は1,440件から1,658件へ増加した。

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