シンガポールとマレーシア・ジョホールバル(JB)を結ぶ高速輸送システム(RTS)リンクについて、運営会社RTS Operations(RTSO)のマルズキ・アリフィン最高経営責任者(CEO)は10月6日、わずか2駅を結ぶ路線ながら、安全で安定した運行には多くの複雑な技術的課題への対応が必要だと説明した。RTSリンクはシンガポールのウッドランズ・ノース駅とJBのブキ・チャガー駅を結ぶ全長約4kmの路線である。
マルズキ氏が挙げた課題の一つが、海峡を渡る高架区間の勾配である。線路には最大3%の勾配があり、列車は橋の高い地点から地上に向かって下りながら、安全な速度を維持し、駅の所定位置に滑らかかつ正確に停止する必要がある。このため、線路設計だけでなく、ブレーキや信号システムを緊密に連携させる必要があるという。
雨天時の走行も重要な検証項目となる。雨によってレールの摩擦条件が変化するため、さまざまな天候を想定して加速、減速、停止などを繰り返し確認し、安全性と乗り心地を確保する必要がある。マルズキ氏は、利用者にとっては短時間の移動であっても、その背後には長時間にわたる設計、試験、関係者間の協力があると強調した。
RTSリンクを巡っては、シンガポール陸上交通庁(LTA)とマレーシア運輸省が10月2日、旅客サービスの開始予定を従来の2026年末から2027年2月に延期すると発表した。シンガポール、マレーシア双方のインフラ工事はほぼ完成しているが、RTSOは最終的なシステム試験と試運転を12月31日までに終える予定。その後、独立機関による安全認証を取得し、両国当局の最終承認を受ける必要がある。
RTSリンクは片道約5分で両国を結び、ピーク時には1時間・片方向当たり最大1万人を輸送できる計画である。開通すれば、現在コーズウェイに集中するシンガポール―JB間の交通混雑緩和が期待される。
JB~シンガポールRTS、2駅でも「複雑な技術課題」 運営会社CEOが説明
