シンガポール政府は、MRT新駅の場所が一般に公表される前に、公務員がその周辺の住宅を「不釣り合いに多く」購入していた可能性を指摘した米国の研究論文について、データや分析手法の検証を始めた。問題があると判断した場合、汚職調査局(CPIB)に付託する方針である。
問題を提起したのは、米民間非営利研究機関National Bureau of Economic Research(NBER)が公表したワーキングペーパー。研究チームは、シンガポールの民間住宅取引データと政府職員名簿を照合し、計画段階でまだ公表されていないMRT駅周辺の住宅購入状況を分析した。
研究者らによると、公務員による購入は一般の比較対象者より多く、その差はMRT駅の正式発表の1~2年前に集中していたという。さらに、鉄道路線の計画に関係する政府機関の職員ほど、こうした購入傾向が強かったと主張している。
一方、不動産仲介業者や企業の取締役についても同様の分析を行ったが、未発表駅周辺で同様の購入増加は確認されなかった。このため研究チームは、一般公開情報を分析して購入しただけでは説明しにくいとの見方を示した。
ただし、今回の論文はNBERの「Working Paper」であり、議論や意見交換を目的に公開されたもので、学術誌などによる査読を受けた最終研究ではない。
公共サービス局(PSD)は「公務員の誠実性に関する懸念を極めて深刻に受け止めている」と表明。現在、論文で使用されたデータと分析方法を精査しており、実質的な根拠が確認されればCPIBに付託するとしている。
公表前の都市計画情報が住宅購入に利用されたのかどうかは現時点では確認されておらず、政府による検証結果が注目される。
MRT未発表駅周辺で公務員の住宅購入多い? 政府が米研究論文を調査
