世界的に船舶や発電所で使用される燃料油の供給が逼迫しており、世界最大の船舶燃料供給拠点であるシンガポールでも価格が急上昇している。中東情勢の緊迫化やロシアの製油所への攻撃などが供給を圧迫しており、海上輸送費を通じて企業の物流コストに影響が広がる可能性がある。
Reutersによると、シンガポール、欧州のアムステルダム・ロッテルダム・アントワープ(ARA)、中東のフジャイラという世界の主要船舶燃料供給拠点では、燃料油在庫が季節平均を約30%下回る水準となっている。
特に価格上昇が目立つのが、環境規制に対応した低硫黄船舶燃料(VLSFO)である。シンガポール市場ではイランを巡る戦争の開始以降、価格が76%上昇しており、同期間の北海ブレント原油の上昇率約40%を大幅に上回った。
供給不足の背景には、中東やロシアからの燃料油供給減少に加え、世界各地の製油所がより採算性の高いガソリンやディーゼルの生産を優先していることがある。市場調査会社Kplerは、2026年第3四半期の世界の燃料油不足が日量約21万8,000バレルに達する可能性があると予測している。前年同期の不足は日量約6,000バレルだった。
シンガポールでは実際の燃料供給にも逼迫がみられる。9月初旬時点でVLSFOの供給には9~16日程度のリードタイムが必要となっており、燃料の調合に必要な原料不足などが影響している。
アジアは中東からの石油供給への依存度が高いため、燃料油不足の影響を特に受けやすいとみられている。世界有数のコンテナ港であり船舶燃料供給拠点でもあるシンガポールで価格高騰が長期化すれば、船会社の燃料費上昇を通じて海上運賃にも波及する可能性がある。
輸入への依存度が高いシンガポールでは、海上輸送費の上昇が企業の物流コストだけでなく、最終的には輸入商品の価格にも影響する可能性があり、今後の中東情勢と船舶燃料の供給動向が注目される。
