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政治

2026年8月28日

シンガポール、ヘイズ悪化に備え対策強化 高齢者にココナツ水、介護施設に専用病室

 シンガポールで、インドネシアの森林・土地火災による越境ヘイズへの警戒が高まる中、政府機関や医療・福祉施設、企業などが対策を強化している。高齢者へのココナツ水などを含むケアパックの配布、介護施設への「ヘイズ専用室」の設置、幼稚園での空気清浄機やマスクの準備、建設現場でのN95マスク確保など、幅広い取り組みが進められている。
 
 シンガポールでは8月25日深夜ごろ、中央部の大気汚染指数(PSI)が99まで上昇した。101以上は「Unhealthy(不健康)」に分類される。その後は改善し、26日午後9時時点では52~67の「Moderate(中程度)」となった。国家環境庁(NEA)は、乾燥した天候が続き、南または南東から風が吹いた場合、インドネシアからの煙がシンガポールに流れ込む可能性があるとして警戒を続けている。
 
 特に対策が進められているのが高齢者などへの支援である。シンガポール赤十字社は、約1,000世帯の家族、外国人労働者、高齢者などを対象に、9月16日からケアパックを順次配布する。パックには水分補給用のココナツ水のほか、全粒穀物飲料やクラッカーなど簡単に摂取できる食品を入れる。ヘイズ発生時に外出する必要を減らすことが狙いで、少なくとも1万人への支援を目指している。
 
 7月に開設されたThye Hua Kwan Nursing Home @ Tanjong Katongでは、呼吸器疾患を持つ入居者を保護するため、4床の「ヘイズルーム」を用意した。専用トイレに加え、換気・空気ろ過設備を備えている。他の系列介護施設や病院でも呼吸器関連の医療機器や薬を準備し、大気汚染が悪化した場合には緊急性の低い外出予定を延期するなどの対応を取る。
 
 子どもへの対策も進む。Little Olive Treeの18カ所の幼稚園では、PSIが101以上の不健康レベルになった場合、通常は昼寝の時間などに使用するエアコンを終日稼働させる。E-Bridge Pre-Schoolの全31施設では子ども用マスクと職員用N95マスクを準備。PSIが100を超えた場合、屋外活動を中止し、呼吸器や心臓に持病のある子どもについては運動も控える。
 
 屋外で働く建設労働者への対応も強化されている。一部の建設会社はN95マスクを事前発注し、呼吸器疾患などのリスクが高い従業員を確認している。人材開発省(MOM)は企業に対し、ヘイズへの備えとして削減すべき屋外作業の特定やマスクのフィットテスト、事業継続のため少なくとも1週間分のN95マスクを確保するよう求めている。重大な違反があれば、作業停止命令や罰金などの措置を取る可能性もある。
 
 国防省(MINDEF)とシンガポール軍(SAF)も24時間PSI予報を参考に、必要に応じて訓練や屋外活動の強度を調整する。また政府は、国内のN95マスクの備蓄は十分だとしている。小売店では既に需要が増え始めており、Watsonsでは直近2週間のKN95マスク販売が少なくとも2倍になったという。
 
 今回のヘイズは、スマトラ島やカリマンタン島で続く森林・土地火災が主な原因とされる。2026年はエルニーニョ現象による乾燥した気象条件が火災を悪化させる可能性が指摘されている。隣国マレーシアでは8月25日に半島部とサラワク州の30地域で大気汚染が不健康レベルとなり、8月にはぜんそく患者が前週比で259%増加した時期もあった。
 
 シンガポール政府は現時点で2015年のような深刻なヘイズになる可能性は低いとみているものの、乾燥状態と風向き次第では一時的に大気環境が悪化する可能性があるとしている。NEAは市民に対し、PSIだけでなく、直近の状況を示す1時間PM2.5値も確認しながら屋外活動を判断するよう呼び掛けている。

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