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育児休暇拡充、職場の「しわ寄せ」が課題に 公平な業務分担求める声

 シンガポール政府が育児休暇を大幅に拡充する方針を打ち出したことを受け、子育て世帯への支援を歓迎する一方、休暇取得者の業務を誰がカバーするのかという職場側の課題が注目されている。特に人員に余裕のない中小企業や、子どものいない従業員への負担集中を防ぐ仕組みづくりが重要になりそうだ。
 
 ローレンス・ウォン首相は8月23日のナショナルデー・ラリー(NDR 2026)で、12歳以下のシンガポール人の子どもを持つ働く親を対象に、年間の育児休暇を拡充すると発表した。子ども1人の場合は親1人につき8日、2人は10日、3人以上は最大12日となる。現在は末子が6歳以下の場合に6日、7~12歳の場合は2日であり、大幅な拡充となる。
 
 政府は企業の負担軽減策として、育児休暇や出産休暇など子どもに関連する休暇について、一定の上限まで全期間の費用を企業に払い戻す方針も示した。しかし、企業にとって問題となるのは給与コストだけではない。従業員が休めば、その間の仕事を別の社員が担当する必要があり、特に少人数で運営する職場では業務負担が大きくなる可能性がある。
 
 家族に優しい制度が「同僚の時間によって支えられる」形になってはいけないと指摘する。親が安心して休暇を取得できる環境を整える一方、子どものいない社員が恒常的に追加業務を引き受ければ、不公平感や不満につながりかねない。
 
 人材採用の専門家からも、親を支援する制度が独身者や子どものいない従業員に不利な職場慣行につながらないよう注意すべきだとの声が出ている。企業には、複数の社員が同じ業務を担当できるようにするクロストレーニングや、休暇を前提とした人員配置、柔軟な働き方などが求められる。
 
 特に重要になるのが中間管理職の役割である。誰かが育児休暇を取得するたびに特定の社員へ仕事を振るのではなく、チーム全体で業務を調整し、子育ての有無にかかわらず公平だと感じられる環境をつくる必要がある。
 
 政府による育児支援の拡充は、少子化が進むシンガポールにとって重要な政策である。一方、制度を実際に機能させるには、親が周囲への遠慮や職場での不利益を心配せず休めることと、他の社員に過度な負担をかけないことの両立が不可欠となる。今後は休暇日数だけでなく、企業の人員配置やマネジメントを含めた「職場文化」の改革が大きな課題となりそうだ。

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