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シンガポール、子育て支援を大幅拡充 子ども1人に約S$7万、保育休暇・住宅支援も強化

 シンガポールのローレンス・ウォン首相は8月23日、2026年のナショナルデー・ラリー(施政方針演説)を行い、子育て支援の大幅な拡充を柱とする新たな政策を発表した。少子化が続く中、出産時に支援を集中させる従来の考え方から、子どもの成長過程を通じて継続的に家庭を支える仕組みへ転換する。
 
 新たな「SG Child Support Package」では、シンガポール人の子ども1人につき、出生から17歳までに政府から受ける直接的な支援を約S$7万に拡大する。新制度には現金S$1万の「Baby Gift」や、子どもの成長に合わせて支給される計S$3万2,000の「Child Credits」などが含まれ、出生順位にかかわらず支援する。
 
 働く親への支援も強化する。現在の育児休暇制度を見直し、12歳以下のシンガポール人の子どもが1人いる場合は親1人につき年間8日、2人なら10日、3人以上なら12日の育児休暇を取得できるようにする。政府は今後、現在最大30週間となっている政府負担の有給育児関連休暇についても、さらなる拡充を検討する。
 
 住宅面では、HDBのBTO(新築公営住宅)の世帯所得上限を月額S$1万4,000からS$1万6,000へ引き上げる。所得上限の引き上げは7年ぶり。また、初めて住宅を購入する家庭について、子ども1人ごと、または妊娠中の子ども1人ごとにBTO抽選で追加の抽選権を付与する。保育・幼児教育についても、政府支援を受けるプレスクールの料金を大幅に引き下げ、子育て世帯の継続的な負担軽減を図る。
 
 ウォン首相はこのほか、AIなど新技術をシンガポールの生産性向上や雇用創出につなげる方針を強調。一方、若者のSNS利用については安全対策を強化し、プラットフォーム側の対応が不十分な場合、現在13歳となっている最低利用年齢をさらに引き上げることも検討するとした。
 
 国際情勢については、米中対立や関税問題など世界の不確実性が高まる中でも、シンガポールの強みである「信頼」を維持する重要性を強調。違法な迂回輸出などにシンガポールが利用されることは認めず、外国人材についても経済に必要な人材を受け入れながら、シンガポール人が国内人口の多数を維持する方針を示した。
 
 今回の演説では、「子どもを持つことへの一時的な奨励」から「子育てを長期的に社会全体で支える」方向への政策転換が鮮明となった。少子高齢化と人材不足が進む中、家族支援と経済競争力をどのように両立させるかが、今後のシンガポール政策の大きな焦点となる。