2026年8月13日
セントーサ・コーブ物件、3分の2が売却損 平均損失100万Sドル超
シンガポールの高級住宅地セントーサ・コーブで、中古物件の売却損が目立っている。2023年以降に売買された物件の約3分の2が購入価格を下回る価格で売却され、損失額は平均100万Sドルを超えた。不動産市場全体では価格が底堅く推移する中、外国人富裕層を主要な買い手としてきた同地区の特殊な市場環境が影響している。
不動産市場関係者の分析によると、セントーサ・コーブではコンドミニアムなど非土地付き住宅で特に売却損が多く、土地付き住宅は比較的良好な状況にある。ただ、2023年以降は土地付き住宅でも売買の約半数が購入価格を上回る程度にとどまっている。
背景にあるのが、外国人による住宅購入への規制強化である。政府は2023年4月、外国人が住宅を購入する際の追加購入者印紙税(ABSD)を30%から60%へ引き上げた。外国人需要への依存度が高かったセントーサ・コーブでは買い手が減少し、売買件数にも影響が出ている。
実際、非土地付き住宅の取引件数は2021年上半期の68件から、2026年上半期には35件へ減少した。限られた買い手を巡って売り手同士の競争が強まり、価格を引き下げて売却するケースが増えているとみられる。
一方、価格が一貫して下落しているわけではない。2021年第1四半期から2026年第2四半期までのセントーサ・コーブの非土地付き中古住宅価格は、1平方フィート当たりで18.1%上昇している。ただし、過去の高値で購入した所有者にとっては、現在の価格でも購入額を回収できないケースが少なくない。
専 門家は、99年の借地権や都心部へのアクセス、買い手層の限定なども価格形成に影響していると指摘する。高級住宅地として知られるセントーサ・コーブだが、投資対象としてはシンガポール本島の住宅市場とは異なる動きをみせている。


