AsiaX

シンガポール、人員削減4,500人 2020年以来の高水準も雇用は拡大

 シンガポールで2026年第2四半期(4~6月)の人員削減数が4,500人となり、前四半期の3,830人から17.5%増加した。四半期ベースでは、新型コロナウイルスの影響が続いていた2020年第4四半期の5,640人以来、約5年半ぶりの高水準となった。
 
 シンガポール人材開発省(MOM)が発表した労働市場統計によると、人員削減の増加は主に情報・通信や製造業など、海外市場との結び付きが強い業種で目立った。企業による事業再編が主な理由で、景気悪化を背景とした広範囲な雇用削減ではないとしている。
 
 一方、人員削減が増加する中でも雇用市場全体は拡大を続けた。第2四半期の総雇用者数は1万700人増加し、第1四半期の2,400人増から伸びが加速した。6月の失業率も全体で2.0%と前月から変わらず、シンガポール市民は2.9%、永住権(PR)保持者を含む居住者は2.8%と、低い水準を維持している。
 
 企業の採用意欲にも改善がみられる。MOMの調査では、今後3カ月間に採用を予定している企業の割合は43.7%と、前四半期の40.0%から上昇。賃金を引き上げる予定の企業も25.8%から32.9%に増えた。一方、人員削減を予定する企業は4.3%から3.3%へ低下した。
 
 シンガポールではAI(人工知能)やデジタル化の進展を背景に、企業が組織や業務の見直しを進めている。今回の統計は、雇用市場全体の需要は底堅いものの、成長分野への人材移動や企業再編によって、一部の職種では雇用の不安定さが増している状況を示している。