スーパーマーケット大手のシェンション(Sheng Siong)は、2027年1月に開業予定のジョホールバル・シンガポール高速輸送システム(RTS)リンクを見据え、必要に応じて価格や販促活動、商品構成を見直す方針を示した。RTS開業によりシンガポールからジョホールバルへの買い物客が増え、小売業界の競争が一段と激しくなることを見据えた対応である。
同社のリム・ホックチー最高経営責任者(CEO)は、2026年上半期決算の発表に合わせ、「競争力を維持するため、価格設定やプロモーション、商品構成を柔軟に調整する用意がある」と説明した。一方で、RTS開業が業績に与える影響については、運賃や所要時間、為替相場、両国の価格差、消費者行動など複数の要因によって左右されるため、現時点では不透明との見方を示した。
シンガポール・ビジネス連盟(SBF)など3団体が7月に公表した共同調査では、RTS開業後、シンガポールの消費者によるマレーシアでの年間支出は約10億5,000万Sドル増加し、ジョホールバルを訪れる人数も前年比51%増えると予測されている。食料品や日用品、医薬品、外食、美容関連が主な消費分野になる見通しである。
こうした環境変化に備え、シェンションは国内での事業拡大も継続する。7~9月にホウガン、リバーベール、ウッドランズで新店舗を開設するほか、オンライン販売の強化に向けてフードパンダとの提携も開始した。また、2029年完成予定のスンゲイ・カドゥット配送センターでは、自動化設備の導入により物流効率の向上とコスト削減を図る計画である。
RTSリンクはシンガポールとジョホールバルを短時間で結ぶ交通インフラとして期待されており、小売業界では価格競争や消費行動の変化への対応が重要な課題となる。シェンションの動きは、越境消費時代を見据えた国内小売業の競争戦略を象徴するものとして注目される。
シェンション、RTS開業見据え価格戦略見直しへ 越境消費拡大に備え
