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シンガポール金融業、2025年は4.3%成長 5年間で年平均4,200人の雇用を創出

 シンガポール金融管理局(MAS)は2025/2026年次報告書を公表し、2025年の金融サービス業は前年比4.3%成長したと発表した。2024年の7.3%からは伸び率が鈍化したものの、2021~2025年の平均成長率4.6%とほぼ同水準を維持し、「金融サービス産業変革マップ(ITM)」で掲げた年間4~5%の成長目標を達成した。金融サービス業は国内総生産(GDP)の約14%を占める基幹産業として、引き続きシンガポール経済を支える重要な役割を果たしている。
 
 雇用面でも着実な成果が見られた。2021年から2025年までの5年間で、金融業界は年平均4,200人の純増雇用を創出し、新たな雇用はすべてシンガポール人に充てられた。成長は銀行、保険、資産運用、外国為替、債券市場、サステナブルファイナンスなど幅広い分野で実現した。銀行部門の総資産は3.1%増加し、保険資産は7.6%増の4,935億Sドルとなったほか、運用資産残高(AUM)は10%増の6兆7,000億Sドルに達し、ウェルスマネジメント市場も力強い拡大を続けている。
 
 国際金融センターとしての競争力も一段と高まった。シンガポールの外国為替市場では1日当たり平均取引額が1兆6,000億USドルに達し、ASEAN最大の為替取引拠点としての地位を維持した。また、社債発行額は約3,400億Sドルと前年比10%増加し、グリーンボンドやサステナビリティ・リンク・ローンなど持続可能な金融分野でもASEAN全体の過半を占める実績を記録した。さらに、ファンド運用会社数は1,320社に増加し、海外からの新規資金流入も前年比29%増となるなど、国際資産運用拠点としての存在感を強めている。
 
 MASのチア・ダー・ジュン長官は、世界経済が関税引き上げや中東情勢など不透明な環境にある中でも、シンガポール金融センターは安定した成長を維持していると評価した。その上で、マネーロンダリング対策(AML)やテロ資金供与対策(CFT)の強化を通じて金融システムの信頼性を高める一方、AI活用や資本市場改革など新たな競争力強化策も推進していく考えを示した。
 
 世界の金融業界ではデジタル化やAI導入が急速に進み、人材獲得競争が激化している。シンガポールでもHSBCなど大手金融機関がAI専門人材の大規模採用を進めるなど、高付加価値分野への投資が活発化している。今回の報告は、世界経済の不確実性が続く中でも、シンガポールが金融・資産運用・フィンテックの中核拠点として成長を維持し、質の高い雇用創出と国際競争力の強化を両立していることを示す内容となった。