シンガポール金融管理局(MAS)は、2026年下半期の経済見通しについて、外部環境には不透明要因が残るものの、AI(人工知能)関連需要を背景とした半導体やデジタル関連産業が引き続き成長を支えるとの見方を示した。中東情勢の緊迫化や米国の通商政策など世界経済を巡るリスクは依然として存在するが、シンガポール経済は比較的堅調な成長を維持するとの認識である。
第2四半期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比5.7%増となり、市場予想を上回る伸びを記録した。特に製造業はAI向け半導体需要の拡大を背景に高い成長率を維持しており、電子・電気(E&E)産業が景気をけん引している。データセンター投資やクラウドサービス関連需要も引き続き堅調で、ICTサービス分野も成長を支える重要な柱となっている。
一方で、MASは地政学リスクやエネルギー価格の上昇、主要国の金融政策の動向などを引き続き注視する必要があるとしている。世界経済の減速や保護主義の拡大は輸出依存度の高いシンガポール経済に影響を及ぼす可能性があり、今後の企業業績にも注意が必要と指摘する。
日系企業にとっても、AI関連産業の拡大は新たなビジネス機会となる一方、半導体やデータセンター向け設備投資、人材確保を巡る競争はさらに激しくなると予想される。MASは、今後も物価と成長のバランスを見極めながら金融政策を運営する方針であり、企業には外部環境の変化を踏まえた柔軟な経営戦略が求められそうである。
シンガポール経済、AI需要が下半期も成長を下支え MASが見通し示す
