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生活費高騰で副業を選ぶ若者が増加 「収入の安全網」として複数の仕事を掛け持ち

 シンガポールで生活費の上昇が続く中、本業に加えて副業を持つ若者が増えている。フードデリバリーや配車サービス、オンライン販売、家庭教師など複数の仕事を掛け持ちし、収入源を分散させることで家計の安定を図るケースが目立っている。こうした動きについて、若者支援団体「Daughters of Tomorrow」の最高経営責任者(CEO)、ジョリーン・タン氏は、「彼らは決して『飢えていない』わけではない。生活を維持するために、安全網として副業を選ばざるを得ない状況にある」と指摘している。
 
 記事では、正社員として働きながら週末や夜間にデリバリー業務やイベントスタッフ、フリーランス業務などを行う若者の事例が紹介されている。副業による収入は住宅ローンや家賃、公共料金、食費など日常生活費の補填に充てられるほか、将来の転職や失業に備える「収入の保険」としての意味合いも強いという。単にぜいたく品を購入するためではなく、生活防衛策として複数の収入源を持つ考え方が広がっている。
 
 背景には、住宅価格や家賃、外食費など生活コストの上昇に加え、経済の先行きに対する不透明感がある。企業の人員削減や組織再編が続く中、若い世代の間では「一つの仕事だけでは安心できない」という意識が高まっており、収入源を複数確保することがリスク管理の一環として認識されるようになっている。また、ギグエコノミーの拡大によって、自分の空き時間を活用して柔軟に働ける環境が整ったことも、副業の普及を後押ししている。
 
 一方で、専門家は副業の増加には課題もあると指摘する。長時間労働による健康への影響や、本業の生産性低下、ワークライフバランスの悪化につながる可能性があるほか、雇用契約によっては副業が制限される場合もある。そのため、企業側には柔軟な働き方や適正な賃金水準の確保が、政府には若年層の生活負担軽減やスキル向上支援が求められるとしている。
 
 シンガポールでは低い失業率が続く一方、生活費の高止まりや雇用環境の変化を背景に、「複数の収入源を持つこと」が新たな働き方として定着しつつある。副業は自己実現やスキルアップの手段であるだけでなく、予期せぬ収入減に備える生活防衛策としての役割も担い始めており、今後の労働市場や雇用制度にも影響を与える可能性がある。