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オーチャード・セントラル上層階をオフィスへ転換 対象テナントは11月末までに退去

 シンガポール・オーチャードロードにある商業施設「オーチャード・セントラル(Orchard Central)」で、大規模改修工事に伴い、5階から12階までの対象テナントが2026年11月30日までに退去することが明らかになった。施設を所有するファー・イースト・オーガニゼーション(Far East Organization)は、資産価値向上を目的とした改修計画(Asset Enhancement Initiative)の一環として、上層階の一部をオフィススペースへ転換する方針である。
 
 今回の対象となるのは5~8階と11、12階の店舗で、テナントには今年6月に退去通知が送付された。契約期間は店舗ごとに異なり、年末まで営業できる店舗もある一方、一部は11月30日までの退去が求められている。改修工事は12月から開始される予定で、都市再開発庁(URA)からは、上層階をオフィス用途として活用するための原則承認を取得している。
 
 オーチャード・セントラルは2009年に開業したオーチャードロード最大級の縦型商業施設で、若者向けファッションや飲食店、ライフスタイル関連店舗を中心に営業してきた。しかし近年は、リモートワークの普及や消費者の購買行動の変化を背景に、商業施設には従来の小売機能だけでなく、オフィスや体験型施設などを組み合わせた複合用途への転換が求められている。今回の計画も、こうした市場環境の変化に対応する戦略の一つと位置付けられる。
 
 オーチャードロードでは近年、商業施設のリニューアルが相次いでいる。政府は「オーチャードロード・リジュベネーション(再活性化)」計画を推進しており、商業、オフィス、ホテル、住宅など多様な機能を融合させることで、ショッピング中心の街から「滞在・体験型」の都市空間への転換を目指している。商業施設各社も、テナント構成の見直しや用途変更を通じて競争力の強化を進めている。
 
 今回の改修は、単なる施設のリニューアルではなく、オーチャードロード全体の再開発を象徴する動きといえる。上層階へのオフィス導入によって平日の来訪者増加や飲食・サービス需要の拡大が期待される一方、長年営業してきた店舗の退去による景観やテナント構成の変化も避けられない。商業施設が時代のニーズに合わせて機能を進化させる中、オーチャード・セントラルも新たな複合施設として生まれ変わることになりそうだ。