シンガポール南部の商業施設「ハーバーフロント・センター(HarbourFront Centre)」が、2026年7月27日をもって営業を終了する。前日の7月26日が一般営業の最終日となり、約50年にわたり親しまれてきた施設は大規模再開発に向けてその歴史に幕を下ろす。跡地には、オフィスと商業施設を備えた33階建ての複合ビルが建設される予定で、ハーバーフロント地区の再開発を象徴するプロジェクトとなる。
ハーバーフロント・センターは1977年に「ワールド・トレード・センター」として開業し、2003年に現在の名称へ変更された。長年にわたり、バタム島やビンタン島へのフェリーターミナルやシンガポール・クルーズセンターに隣接する交通拠点として、多くの旅行者や地域住民に利用されてきた。館内には飲食店や小売店、サービス店舗が入居し、周辺のビジネスワーカーや観光客を支える商業施設として機能してきた。
再開発に伴い、シンガポール・クルーズセンターは7月15日から約70メートル離れた「5 HarbourFront Avenue」の仮設ターミナルへ移転しており、フェリーやクルーズの運航は継続される。バタムやビンタン島への航路、クルーズサービスに変更はなく、利用者への影響を最小限に抑える措置が講じられている。
閉館を前に、多くのテナントでは閉店セールを実施し、Don Don Donkiや雑貨店などでは大幅な値引き販売が行われた。長年利用してきた買い物客からは閉館を惜しむ声が多く聞かれ、SNS上でも思い出の写真やメッセージが数多く投稿されるなど、地域のランドマークとの別れを惜しむ動きが広がっている。
今回の再開発は、政府が推進する「グレーター・サザン・ウォーターフロント(Greater Southern Waterfront)」構想の一環でもある。同地区では、港湾機能の再編に合わせてオフィスや住宅、商業施設を備えた新たな都市空間の整備が進められており、ハーバーフロント・センター跡地もその中核プロジェクトの一つに位置付けられている。歴史ある施設の閉館は一つの時代の終わりを象徴する一方で、シンガポール南部の新たな都市開発が本格化する節目ともなりそうだ。
ハーバーフロント・センターが27日に営業終了 再開発で33階建て複合施設へ
