シンガポール金融管理局(MAS)と貿易産業省(MTI)は7月23日、2026年6月のコアインフレ率が前年同月比1.6%となり、5月の1.5%から小幅に上昇したと発表した。一方、市場予想の1.7%は下回り、物価上昇圧力が引き続き緩やかであることが示された。コアインフレ率は住宅費と自家用車関連費用を除いた物価動向を示す指標で、MASが金融政策を判断する際に重視している。
今回の上昇は、サービス料金や加工食品価格の伸びが主な要因となった。外食費や医療、娯楽などのサービス価格が緩やかに上昇したほか、一部食品価格も上昇した。一方で、小売価格や電気・ガス料金などは比較的落ち着いた動きとなり、全体として物価の急激な上昇は抑えられた。住宅費や自動車価格を含めた総合インフレ率(CPI)は前年同月比1.8%となり、5月の1.7%からわずかに上昇した。
MASとMTIは、2026年通年のコアインフレ率を0.5~1.5%、総合インフレ率を0.5~1.5%とする従来予測を維持している。ただし、世界的な地政学リスクやエネルギー価格の変動、貿易摩擦などを背景に、輸入物価が再び上昇する可能性があると指摘した。また、国内では賃金上昇がサービス価格に転嫁される動きも続いており、物価には引き続き一定の上昇圧力が残るとの見方を示している。
市場では、今回の結果を受けてMASが当面は現在の金融政策を維持するとの見方が優勢となっている。シンガポールでは物価上昇率が2023~2024年の高水準から大きく低下しており、インフレは全体として安定方向へ向かっている。一方で、世界経済の先行きには依然として不透明感が残ることから、MASは今後も国内外の物価動向や経済成長を慎重に見極めながら政策運営を進める方針である。
今回の統計は、シンガポール経済が安定したインフレ環境へ移行しつつあることを示す一方、外部環境の変化次第では再び物価上昇圧力が強まる可能性も浮き彫りにした。企業にとってはコスト管理、消費者にとっては生活費の動向を注視する局面が続きそうだ。
シンガポールのコアインフレ率、6月は1.6%に上昇 予想下回るも年後半は物価上昇に警戒
