2026年7月24日
シンガポール主要商業施設、新規出店の半数超が飲食店 外食需要の底堅さを反映
シンガポールの主要ショッピングモールでは、2026年上半期(1~6月)の新規出店の53%を飲食店(F&B)が占めたことが、不動産サービス会社クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの最新レポートで明らかになった。飲食業は引き続き商業施設への出店をけん引する最大の業種となっており、高い家賃や人件費による閉店が報じられる一方で、新規出店も活発に続いている。
レポートによると、飲食店に続いて新規出店が多かったのは、ライフスタイル関連が16%、ファッション関連が14%だった。特に、中国資本を含む海外ブランドのシンガポール進出が目立ち、ティーブランドやレストランチェーンなどが相次いで店舗を開設した。シンガポールは高い購買力や安定した経済環境に加え、東南アジア市場への進出拠点としての魅力が高く、多くの海外企業が最初の出店先として選んでいる。
一方で、飲食業界を取り巻く環境は依然として厳しい。人件費や賃料、原材料価格の上昇により閉店する店舗も少なくないが、市場全体では新規出店数が閉店数を上回り、事業者の新陳代謝が続いている。市場関係者は、「競争は激しいものの、話題性や独自性のあるブランドには十分な成長機会がある」と分析している。
また、シンガポールでは観光客数の回復や個人消費の底堅さを背景に、小売市場全体も安定した推移を見せている。主要商業施設の空室率は低水準を維持しており、2026年のプライム商業施設の賃料は前年比1~2%上昇すると予測されている。新たな商業施設の供給が限定的であることも、既存モールへの出店需要を支える要因となっている。
今回の調査結果は、シンガポールの商業施設が「買い物の場」から「食事や体験を楽しむ場」へと変化していることを改めて示している。今後も商業施設では、飲食店や体験型店舗を中心としたテナント構成への見直しが進むとみられ、小売業界全体でも消費者のライフスタイルに合わせた店舗づくりが一層重要になりそうだ。


