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新卒向け求人は3万2,800件 それでも就職に苦戦する卒業生が増加

 シンガポールでは新卒向け求人が3万2,800件あるにもかかわらず、希望する正社員の職に就けず、長期間の就職活動を続ける大学卒業生が増えている。人材開発省(MOM)の最新データでは、2026年3月時点で専門職・管理職・技術職(PMET)の新卒向け求人は3万2,800件に達し、前年とほぼ同水準を維持しているが、実際の求職者との間には依然としてミスマッチが生じている。
 
 これらの求人は月給2,300~5,000Sドル程度が中心で、新卒者を対象とした職種である。しかし、卒業生の中には100件以上応募しても内定を得られないケースもあり、「求人は多いが、自分の専攻や希望職種に合う仕事が見つからない」との声が上がっている。特にテクノロジー業界では採用基準が厳格化しており、企業は即戦力となるスキルや実務経験を重視する傾向を強めている。
 
 こうした状況を受け、多くの新卒者は就職活動の方針を見直している。当初より希望給与を引き下げたり、業界や職種の幅を広げたりするほか、インターンシップや短期契約、研修プログラムを経て正社員を目指すケースが増えている。また、人工知能(AI)、サイバーセキュリティー、スタートアップ企業、フリーランスなど、新たな分野へ進路を変更する卒業生も少なくない。
 
 一方、人材開発省の調査では、新卒者が就職を辞退する主な理由として「希望より低い給与」と「より良い条件の企業を待ちたい」が挙げられている。しかし、当事者からは「高収入を求めているわけではなく、将来につながる経験や成長機会を重視している」との声も聞かれ、給与だけでは説明できない就職市場の課題も浮き彫りとなっている。
 
 政府は若年層の就職支援策として、官民合わせて約800人を対象とした卒業生向けインターンシップ制度を導入し、2026年6月までに550人以上が参加した。雇用市場全体では人材需要が続いているものの、企業が求めるスキルと新卒者の能力とのギャップを埋めることが、今後の大きな課題となりそうである。