シンガポールで次世代電子道路課金システム「ERP2.0」の導入が進む中、新型車載器(OBU)の設置位置を変更するために、ドライバーが最大300Sドルを支払って改造を依頼するケースが増えている。視界や車内デザインへの影響を理由に標準設置位置へ不満を持つ利用者が多く、関連業者への相談が相次いでいる。
ERP2.0では、従来のIU(車載器)に代わり、アンテナや処理装置、ディスプレーで構成される新型OBUが順次搭載されている。しかし、多くの車種ではディスプレーがダッシュボードやフロントガラス付近に設置されるため、「視界を妨げる」「車内の見た目が悪くなる」「スマートフォンホルダーなどと干渉する」といった不満が利用者から寄せられている。
こうした背景から、一部の自動車用品店や整備工場では、ディスプレーを運転席付近やセンターコンソールなど好みの位置へ移設するサービスを提供している。配線の延長や専用ブラケットの取り付けなどを伴うため、費用は100~300Sドル程度となるが、それでも依頼が増加しているという。
一方、陸上交通庁(LTA)は、安全性や正常な通信機能を確保するため、OBUの改造や移設は認定業者による適切な施工が必要であるとしている。不適切な設置は機器の誤作動や故障につながる可能性があるため、利用者に注意を呼び掛けている。また、OBUのディスプレーは着脱可能であり、不要な場合は取り外して保管することもできる。
ERP2.0は衛星測位システム(GNSS)を活用し、将来的には距離に応じた道路課金など、より柔軟な料金体系への対応が期待されている。一方で、今回の車載器を巡る利用者の反応は、新技術の導入では機能性だけでなく、デザインや使い勝手への配慮も重要であることを示している。今後は利用者の意見を踏まえた改善が進むかどうかにも注目が集まりそうである。
